鹿島は天敵撃破も「まだまだ完成していない」 エース鈴木優磨が感じた手ごたえと課題

鹿島の鈴木優磨【写真:徳原隆元】
鹿島の鈴木優磨【写真:徳原隆元】

鹿島は9年ぶりに川崎に勝利

 J1リーグは3月17日に第4節の2試合を行い、鹿島アントラーズはホームのカシマスタジアムで川崎フロンターレと対戦した。3節を終えて1勝の両チームにとっては、勝ち点3が欲しい一戦。しかし、鹿島にとって川崎は8年間16度の対戦で4分12敗と一度も勝てていない天敵だった。

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 この試合でも鹿島は、前半36分に川崎のFWマルシーニョに先制ゴールを許す苦しい展開となる。それでも、後半2分にFWチャヴリッチのゴールで追い付くと、そのわずか3分後にはFW鈴木優磨がMF名古新太郎のクロスがバーを叩いたところに反応。こぼれ球をゴールに突き刺し、エースの今シーズン初ゴールで一気に逆転した。その後、マルシーニョが2枚目の警告を受けたこともあり、鹿島はリーグ戦9年ぶりに川崎に勝利した。

 決勝ゴールの場面について、鈴木は「前半から最後の質さえあればというシーンが結構あったので、僕自身も後半に必ず来ると信じていた。ゴール前で我慢していたし、運もあったかもしれませんが、常にゴール前で準備をしているのは自分のスタイルなので、良かったかなと思います」と語った。ボールが来たことは運であっても、それを押し込めたことは必然だった。

 7年連続国内無冠となっている鹿島にとって、長年破れなかった記録を壊していく作業は、チームにとって自信になるはずだ。昨年2月の対戦では、先制しながらも試合終盤の後半44分から2失点で逆転負けを、同じカシマスタジアムで喫していた。そんな相手に勝てたことについて、鈴木は「川崎さんもいろいろな状況があると思いますが、どんな状況であろうと勝てたことが非常に大きい。川崎さんに限らず、この間、町田(ゼルビア)に負けて連敗しなかったことは大きかったと思います」と、中断期間を前に勝ち点3を積み重ねられた意味を強調した。

ポポヴィッチ監督の志向する縦への速いサッカーが徐々に形に

 ポポヴィッチ監督の志向する縦への速いサッカーが、随所に見られたが、鈴木も「よりダイレクトに前を見ていこうという練習をしていますし、そこに対してチーム全体でいい意識を持っていいトレーニングができて、いい結果を得ることができました。1試合で完成度がそこまで上がることはないので。自分たちで積み上がっているという実感も大事ですが、結果的に見たなかで、周りの見ているみなさんが判断することだと思う。でも、今年に関してはやりたいことが見ている皆さんも感じられていると思います」と言い、さらに向上する余地があると続ける。

「もっともっと練習で積み重ねていきたい。まだどうしても人で解決しているところがあるので、(横浜)F・マリノスさんや川崎さんのように、誰が出ても同じサッカーができるようなクオリティーまで持っていくためには、まだまだ僕たちも練習が必要だと思う。僕たちはまだ完成されたチームじゃないので、1週間だったり、1日の練習をしっかり大事にして、最終的に何かを得られればいいかなと思います」

 天敵に勝利して、この勢いのままリーグ戦が続いてほしいと思えなくもないが、鈴木は「俺らからすると、中断はでかいです」とメリットになると語る。

「やっぱりまだまだ完成していないし、本当にポポさんは毎日の練習で100%出し切ってハードワークして、集中を求める監督なので、本当にいい練習ができています。そこに対して全員が上手くなろうという気持ちでやっています。そこに対して、みんな気持ちの入った練習ができているんで、いい中断にできればいいかなと思います」

 3月30日の対戦相手は、今シーズンJ1に復帰したジュビロ磐田。かつてのライバルクラブとの試合では、もう1つ完成度の高まった姿を見せられるかが注目される。

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