久保建英は「別世界」 パリ五輪世代MF荒木遼太郎が同世代から受けた“海外”への影響【インタビュー】

FC東京の荒木遼太郎【写真:徳原隆元】
FC東京の荒木遼太郎【写真:徳原隆元】

FC東京へ移籍決断の理由は「試合に出たいという気持ちだけ」

 今シーズン、鹿島アントラーズからFC東京に期限付き移籍で加入したMF荒木遼太郎は、J1リーグ開幕戦のセレッソ大阪戦(2-2)、第2節サンフレッチェ広島戦(1-1)と2試合連続で計3ゴールを決め、高いポテンシャルを見せつけた。

 2021年に荒木はリーグ戦36試合に出場して10ゴールを挙げ、10代で2桁得点という史上2人目の快挙を成し遂げ、Jリーグのベストヤングプレーヤー賞を受賞していた。そして、年明けの1月21日のキリンチャレンジカップを戦う日本代表にも初選出(新型コロナ禍の影響で試合中止)されていた。

 パリ五輪世代でもある荒木は、U-23日本代表でも大きな期待を寄せられていたが、2022年は負傷に苦しみ、翌23年にはプレー機会を掴めずに苦しい時期を過ごした。

 今回の期限付き移籍には、「心機一転」の意味合いが強い。FC東京にはパリ五輪世代であるMF松木玖生、DFバングーナガンデ佳史扶らが在籍している。第3節ヴィッセル神戸戦(1-2)には、U-23日本代表の大岩剛監督も視察に訪れていたが、彼らとプレーすることで大岩監督にもアピールをしやすいはずだ。

 だが、荒木は「そもそも最近は代表に入っていないので『選ばれればいいな』くらいに考えていたんです。パリ五輪を強く意識して(FC東京に来た)というよりは、2年間ほとんど試合に出られていなかったので、そこに対しての悔しい気持ちが大き過ぎました。とりあえず試合に出たいという気持ちだけですね」と、年代別の大会よりも、プレーする機会が重要だったと語った。

 今季からキャプテンを務めている松木とは、「あんまり一緒にやったことがなかったし、同じチームでプレーするのは初めて」だったという。それでも、練習や試合を通じて「やっぱり守備の強度は高いですし、FC東京の中心は玖生だなっていうのは感じます」と、そのポテンシャルに刺激を受けている。

 パリ五輪世代には、スペイン1部レアル・ソシエダで活躍する元FC東京の日本代表MF久保建英もいる。初めて代表合宿に招集された際には、「負けたくない」とライバル心を見せていた荒木だが、それから3年が経った今は「別世界過ぎて、分からない」と言い、「交流もないし、会ったことも、話したことすらないですし、ただただ、凄い人だなと思っています」と、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でも戦っているクラブの主力となった同世代のアタッカーについて語った。

FC東京が4月に国立競技場で2試合開催へ【画像:クラブ提供】
FC東京が4月に国立競技場で2試合開催へ【画像:クラブ提供】

海外リーグ、なかでもプレミアへの挑戦に意欲

 今は「別世界」と表現した荒木だが、自身も欧州でプレーしたいという希望は強くもっている。「そこ(欧州)は目指していますし、いずれは行きたいと思っています。今はそんな感じですね。ヨーロッパの中で、いろんな国でサッカーをしたい気持ちがあるので、できるだけ早く海外には行きたいです」と、自身の目標を明確に語った。

 希望するリーグやクラブは、という問いにも「プレミアには行ってみたいですね。(マンチェスター・)シティのサッカーはやっぱりいいと思うんです。あとはブライトンに行ったら、才能を伸ばしてくれそうなので選手としては行きたいですよね」と、プレミアリーグ王者と日本代表MF三笘薫の所属する次々と若い才能を発掘している新興クラブの名前を挙げた。

 開幕から続いているパフォーマンスを見せ続ければ、それも決して遠い未来の話にはならないだろう。かつては味の素スタジアムで躍動していた久保のように「別世界」へ行く前に、ピッチに立てる喜びを全身で表現する東京の71番を見逃してしまうのは、あまりにもったいない。

[プロフィール]
荒木遼太郎(あらき・りょうたろう)/2002年1月29日生まれ、熊本県出身。東福岡高―鹿島―FC東京。J1通算91試合・16得点。テクニックと創造力にあふれたアタッカーで、2021年には城彰二以来史上2人目となる10代で2桁得点を達成、ベストヤングプレーヤー賞を受賞した。22年に腰椎椎間板ヘルニアに苦しみ、パリ五輪出場を目指す年代別代表からも遠ざかっており、新天地で完全復活の狼煙を上げる。

【試合情報】
開催日:2024年4月3日(水)
カテゴリー:J1リーグ第6節
対戦カード:FC東京 vs 浦和レッズ
キックオフ時間:19:30
試合会場:国立競技場

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(河合 拓 / Taku Kawai)

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