「正直かなり厳しい」 議論を呼ぶ森重ハンド判定に日本代表OBが“DF目線”で言及【見解】
VARは森重のプレーを「意図的」とは判断せず
昨季J1王者のヴィッセル神戸は、3月9日に行われたリーグ第3節FC東京戦で2-1と逆転勝利を収めた。エースFW大迫勇也が前半早々のPKのチャンスでまさかのシュートミスをするハプニングが発生したことが注目を集めたが、PKにつながったFC東京のDF森重真人のハンド判定に対する疑問の声が上がっている。
神戸は前半5分、ドリブルを仕掛けたFW宮代大聖がペナルティーアーク左からシュートを放つと、エリア内中央でDF森重真人が脇から左腕にかけたあたりでブロック。清水勇人主審は当初コーナーキックを指示したが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、オンフィールドレビューでチェックした結果、神戸にPKが与えられた。
映像で見る限り、宮代のシュートは左脇腹付近に当たってから左腕に当たっているように見え、SNS上では「ハンドは可哀想」「意見が分かれそう」といった声が上がった。
ハンドの反則は、国際サッカー連盟(FIFA)の競技規則に基づいたJリーグ レフェリングスタンダードでは「競技者の手や腕にボールが触れてもすべてが反則になるわけではない」。「手や腕をボール方向に動かしている場合や手や腕を不自然に大きくしていると審判員が判断した場合、ハンドの反則となる」となるのに対し、「手や腕が自然な位置にある場合や競技者自身で意図的にプレーしたボールが手に触れたと審判員が判断した場合、ハンドの反則とはならない」とされている。
VARやオンフィールドレビューでは、森重のプレーは「意図的なプレー」とは判断されなかったということになるだろう。シュートをハンドで止めたことにより、「反スポーツ的行為」と見なされ、イエローカードが提示された。
元日本代表DF栗原勇蔵氏は、「DFの立場からすると、正直かなり厳しい判定ですね」と言及。「手や腕に当たったらすべてハンド、というルールならばそこまでもめたり、議論になることもないんでしょうが、この森重のプレーでPKになるなら手や腕は常に身体にくっつけておかないとダメになりますね」と、森重の胸中をおもんぱかっていた。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。