鹿島ポポヴィッチ体制「最新序列」考察 “評価上々”の戦力&懸念ポジションは?【コラム】

鹿島の各ポジション最新序列を考察【写真:徳原隆元】
鹿島の各ポジション最新序列を考察【写真:徳原隆元】

2024年シーズン、各ポジションの先発争い構図を考察

 ランコ・ポポヴィッチ新監督が率いる鹿島アントラーズは、ここまで4-2-3-1システムを基盤に戦っている。

 1トップを担うのは、新外国籍選手のアレクサンダル・チャヴリッチだ。身長186センチの大型フォワードながら足もとの技術に優れ、身のこなしがしなやかで、スピードもある。U-19、U-21とアンダーカテゴリーにおけるセルビア代表歴を持ち、その実力は折り紙付きだ。Jリーグ開幕戦の名古屋グランパス戦で、挨拶代わりというべき1ゴール1アシストを披露。チームの最重要課題である「決定力アップ」に期待が懸かっている。

 2列目の3枚は左から仲間隼斗、鈴木優磨、樋口雄太がファーストチョイスだろう。献身的なハードワーカーである仲間は、J1通算100試合目となる名古屋との開幕戦で2ゴールを決め、存在感を猛アピール。当日は「妻の誕生日」(仲間)だったこともあり、節目の試合に華を添えた。

 トップ下に入るのは大黒柱の鈴木だろう。シーズン前の練習試合で負傷し、開幕戦には間に合わないと思われたが、ベンチに座るどころか、後半途中からフェースガードを身につけて出陣。第2節のセレッソ大阪戦では、後半すぐにピッチに送り出されるなど、想定を上回るスピードで回復した。となれば、いつまでもベンチスタートにしておくような選手ではない。チャヴリッチと鈴木は「縦関係の2トップ」といった見方もできるかもしれないが、いずれにせよ、鈴木のスタメン復帰は近い。

 右サイドハーフの一番手は樋口ではないか。対戦相手や試合状況によってスピードスターの藤井智也のスタメン起用も考えられるが、昨季のJ1アシスト王でもある樋口はセットプレーのキッカーを務めるだけに、まず外せないだろう。

 2ボランチはボール奪取力に秀でた佐野海舟と、FWとの併用になりそうな知念慶の組み合わせが有力。前者は先のアジアカップに参加するなど、日本代表での活動機会も増え、進境著しい。FC町田ゼルビアから鹿島に加入して2年目ながら、すっかりチームの顔になった。

 後者はボランチの第一人者である柴崎岳の負傷に伴い、いきなりお鉢が回ってきた。「周りもビックリしたと思うけど、オレがいちばんビックリ」とは知念の弁。だが、ここまでのパフォーマンスに関して周囲の評価は上々だ。「ボランチとして、まだまだ覚えることがたくさんあるけれど、新鮮だし、楽しい」と、当の本人も新境地へのトライに意欲的に取り組んでいる。

層の薄さが気になるセンターバック、早急に解消すべき案件

 こうなると、注目されるのは柴崎が怪我から完全復帰した時、ポポヴィッチ監督がどのような采配を振るうか、だ。ボランチとしての実績や経験値は申し分なく、攻撃の幅を広げるロングパス、相手守備網の急所を突くパス、ペナルティーエリア周辺からのミドル弾など、柴崎の良質なプレーは対戦相手にとって脅威に違いない。だが、日に日に成長する“ボランチ知念”の奮闘も見逃せないはず。指揮官の嬉しい悲鳴が早くも聞こえてきそうだ。

 最終ラインは左から実績ある安西幸輝、関川郁万、植田直通の3人が不動。残る右サイドバックは、開幕2試合とも大卒ルーキーの濃野公人がスタメンに抜擢された。守備面での課題が垣間見られるものの、補って余りあるほどの攻撃力が目を引く。縦に飛び出すだけではなく、中に入ってチャンスを創出するなど、自在さが真骨頂だ。

 第1GKの座はプロ4年目の早川友基が射止めた。昨季J1全試合フル出場を果たし、大先輩であるクォン・スンテの現役引退に伴い、今季から背番号1を継承。鹿島の守護神として押しも押されもしない存在にランクアップした。

 バックアップメンバーの面々はFW垣田裕暉、トップ下の土居聖真、サイドハーフのギリェルメ・パレジ、ボランチの名古新太郎、左右どちらでもプレー可能なサイドバックの須貝英大、GK山田大樹といった名が挙げられる。

 開幕前のトレーニングから意欲にあふれ、今季ブレイクの予感が漂っていたパリ五輪世代の松村優太、大卒2年目の師岡柊生は開幕2戦ともベンチ外。彼らがどこまで巻き返してくるか、鹿島の飛躍の鍵を握っていると言ってもいいだろう。

 また、センターバックのバックアップは今年、20歳になるプロ2年目の津久井佳祐のみ。層の薄さはやはり気になる点で、早急に解消すべき案件として目下、新戦力の獲得に奔走している模様だ。

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