浦和が抱えた攻撃の“停滞感” 指揮官が反省、悪循環を抜け出すカギ「良くなれば改善する」
苦しい台所事情に加え東京V戦では攻撃が停滞気味に
浦和レッズは3月3日のJ1リーグ第2節で東京ヴェルディと対戦し、1-1で引き分けた。敗色濃厚なラスト数分間でPKを獲得して追い付いたが、攻撃の停滞感は厳しいものに。ペア・マティアス・ヘグモ監督は「インサイドハーフの裏抜けという重要なプレーが欠けていた。また、ウイングも背後に抜けて相手の脅威になる場面が少なかった」と反省を話した。
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浦和は今季、ヘグモ監督が就任会見で4-3-3システムの導入を宣言。それに合わせるかのようにFW松尾佑介、FW前田直輝に加え、イタリア・セリエAのローマが保有権を持つノルウェー代表FWオラ・ソルバッケンも6月までの期限付き移籍で獲得した。カギとなるウイングプレーヤーの補強に成功したが、この東京V戦ではソルバッケンが間に合わず。前田も発熱からの復帰ができず欠場。昨季の主力であるMF大久保智明、復活が期待されるFW安部裕葵、オランダ人FWブライアン・リンセンも負傷離脱中で、台所事情に苦しさはあった。
前半はボールをかなり支配しながらシュートまで持ち込めず、松尾が放ったシュートの発端はFWチアゴ・サンタナへのアバウトなロングボールからセカンドボールを競り勝ったもの。開幕戦のサンフレッチェ広島戦ではマンツーマンとハイプレスの相手に対して、浦和の前線と広島の後方が同数になっている状態で前にボールを送り込むようなこともしていたが、この日は停滞感ばかりが目立った。
ヘグモ監督は試合後に「前半はかなりいい形でゲームをコントロールできたと思う。しかし、インサイドハーフの裏抜けという重要なプレーが欠けていた。また、ウイングも背後に抜けて相手の脅威になる場面が少なかった。相手にとって少し守りやすいプレーになってしまったと思う」と話す。そして「やろうとしていることに順応し、インサイドハーフとウイングの関係が良くなれば改善すると思う。昨年まで足下のボールでプレーすることに慣れていた。背後を使うことで間延びさせることを求めている」と、チームの流れについても触れた。
ヘグモ監督にスウェーデン1部ヘッケンで指導を受け中心選手だった同国代表MFサミュエル・グスタフソンも「相手を間延びさせることが大事。そのためには裏に抜けるランニングが必要。そしてプレーも中と外のコンビネーションが必要だろう。ボールをサイドチェンジすることで、相手を動かして中が空いたらそこを突くというプレーも必要だと思う。その間延びをさせるために、ハーフタイムには裏へのランニングを増やそうという指示があった」と、その狙いを理解している選手らしい言葉を話した。
またインサイドハーフで出場したMF伊藤敦樹についてヘグモ監督は「そもそもそういうクオリティーを持っている。前半で2回、3回と抜ける場面はあったが、その時にはチャンスになっていた」と話した。一方で、伊藤自身は「マリウス(・ホイブラーテン)が持った時は出そうな感じがあったけど、お互いにコミュニケーションなのか、自分も走ってなかったけど、なかなか(ボールが)出てくる感覚もなかった。もう少しそこを走っても良かったかなと思うけど、相手も締めてきて走るのは難しかった」と振り返った。
パスの出し手から見ると、走っていないから出さない、あるいは出せない。しかし、パスの受け手からすると、パスが出てくる感覚がないから走らない。結果的に、その背後を狙うようなパスも動きもなくなってしまう。こうなってしまうと悪循環だ。グスタフソンやヘグモ監督の言葉からも、まずは背後に抜ける動きをしたうえで必ずしもそこにボールが出ないとしても、それを起点に手前を使うなり降りてくる動きを組み合わせるなりすることが求められているのだろう。
いずれにせよ、ヘグモ監督が指摘した裏抜けの部分以外にも機能していないように見える部分も多い。一方で、広島戦や松尾のシュートシーンで見せたようにアバウトにでも前線に入れたボールがつながってしまえば、一発の攻撃で何かを起こしてしまいそうなものも感じられる。機能性とアバウトさの両面が噛み合ってくればかなりの破壊力を発揮するポテンシャルは感じさせるが、その間にリーグ戦の試合は次々に消化されていく。早い段階で結果を手に入れながら、内容を詰めていきたいところだ。