川崎フロンターレ「最新序列」考察 登里、山根退団後の両サイドバック“一番手”は?【コラム】

鬼木体制8年目の川崎、各ポジションの最新序列を考察【写真:Getty Images】
鬼木体制8年目の川崎、各ポジションの最新序列を考察【写真:Getty Images】

鬼木達監督体制8年目、各ポジション先発争いにフォーカス

 鬼木達監督体制8年目となる2024年シーズンを前に、登里享平(→セレッソ大阪)、山根視来(→LAギャラクシー)の両サイドバック(SB)や、レアンドロ・ダミアン(→コリチーバ)、ジョアン・シミッチ(→サントス)、宮代大聖(→ヴィッセル神戸)といった主軸選手がチームを離れており、彼らの移籍をいかにして補うのかがシーズンオフの注目点だった。

 そんななか、川崎はベスト16敗退となった2023-24シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)や新フォーマットで行われる2024-25シーズンのACLエリートへの参戦もあり、2チームを運用できる規模の補強をオフに実施した。そうした状況下で、各ポジションの最新序列を考察する。

■両サイドバック

 左SBにはヴァンフォーレ甲府から三浦颯太を獲得。三浦は加入のアナウンス後に日本代表に追加招集。元日のタイ代表戦にて日本代表デビューしての加入となった。

 その三浦と左SBのポジションを争うのは当初、佐々木旭が想定されていたがACL山東泰山戦では右SBで先発。山東との2試合と、湘南ベルマーレとのJリーグ開幕戦で右SBを担っており、当面はこのポジションが主戦場になりそうだ。

 では左SBで三浦とポジションを争うのは誰になるのか。ここまでの実績では瀬川祐輔、田邉秀斗といった選手たちが想定される。また、沖縄合宿での起用から、松井蓮之の名前も上がってきそうだ。

 一方、右SBについては合宿期間中にファンウェルメスケルケン際を獲得。佐々木とポジションを争うことになる。なお、瀬川、松井も右SBでの起用は想定されている。

■センターバック

 左右のセンターバックも、その人選は難しい。ACL山東戦から始まった公式戦4連戦すべてで違う組み合わせになっているが、最多の3試合で出場した大南拓磨が軸として考えられているようだ。

 その大南とのコンビとして考えられているのが新加入の丸山祐市と19歳の高井幸大。彼らは公式戦4試合中2試合で先発しており、激しいスタメン争いが繰り広げられている。

 ベテランの落ち着きに、コーチングによる安定感を求めるのであれば丸山、安定感には欠けるが、走力や足もとの技術、そして高さを兼ね備える高井のどちらが出ても一定レベルの結果は残せそうだ。

 なお、ヴィッセル神戸とのスーパー杯では丸山、高井のコンビで神戸を完封。結果を出しており悩ましいところになる。

 先発争いに加えたい選手としてジェジエウの名前も上げられるが、コンディションが十分ではなく、山東との初戦のみの出場にとどまっている。ジェジエウが戻ってくるとさらにハイレベルなポジション争いになる。

新加入エリソンがCF一番手に君臨、ゴミスや小林、山田の奮起にも期待

■中盤

 逆三角形の中盤3つのポジションは、現状、橘田健人のアンカー、右インサイドハーフの脇坂泰斗のセットに、新加入の山本悠樹を左インサイドハーフに置く配列が基本となりそうだ。

 このセットに対し、アンカーでは新加入のゼ・ヒカルドや松井、また、左右のインサイドハーフには、瀬古樹、大卒ルーキーの山内日向汰、新加入のパトリッキ・ヴェロンといった選手が挑戦する構図になるだろう。

 なお、ゼ・ヒカルド、山内、瀬古のセットについてはスーパー杯で試されて結果を残しており、レベルは高い。

■両ウイング

 左右のウイングについてはマルシーニョと家長昭博の両選手の起用が基本。彼らに挑戦するのが、遠野大弥や新加入のパトリッキといった選手だ。

 遠野については事前合宿では好調を維持していたが、合宿中の練習試合での負傷のため戦線離脱を余儀なくされていた。ただ、すでに全体練習には合流しており今後ポジションを脅かす存在となりそう。

■センターフォワード

 一番手は新加入のエリソン。ACLでの山東との2試合を含め、出場した3試合すべてでゴール。特に湘南との開幕戦で奪ったゴールは泥臭く守備をしたことでもたらされたもので、エリソンという選手の守備のセンスや真面目さ、ゴールへの貪欲さによってもたらされた得点だった。

 そのエリソンに対し、バフェティンビ・ゴミスはボールを収めて起点を作る技術には長けている。周囲の選手に前を向かせつつ、自らも反転してからのシュートなどでゴールを陥れてほしいところだ。早期の来日初ゴールを期待したい。

 彼ら外国人選手に挑戦するストライカーとして小林悠や、山田新の名前が上げられる。小林については天皇杯決勝時に負った怪我から復帰しており、次の1点がJリーグ歴代7位の140得点目になる。

 自らのゴールでチームやサポーターを熱くさせられる選手だということで活躍を期待したい。また、山田については運動量とパワーを出せることもあり、試合終盤の逃げ切りたい局面での起用も多い。

■ゴールキーパー

 ゴールキーパーだけは昨季と同じ4選手の陣容でスタート。レギュラーを張るチョン・ソンリョンに対し、上福元直人以下、日本人選手が挑むという構図でシーズンが進むことになる。

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江藤高志

えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。

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