なでしこ救った好守…山下スーパーセーブ回想、副審へ“ノーゴール”「アピールした」

最後尾からチームを支えた山下杏也加(写真左)【写真:徳原隆元】
最後尾からチームを支えた山下杏也加(写真左)【写真:徳原隆元】

パリ五輪アジア最終予選の第2戦で2-1勝利、前半終盤に危機到来も好守で回避

 なでしこジャパン(日本女子代表)は、2月28日に国立競技場で行われたパリ五輪アジア最終予選の北朝鮮との第2戦に臨み、2-1で勝利した。前半終了間際にあわや同点という相手のシュートをセーブしたGK山下杏也加は、冷静な判断でボールを弾き出していた。

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 日本は1-0のリードを手にハーフタイムを迎える間際だった前半45分、北朝鮮に左サイドから切り込まれるとゴール前へのボールをMFチェ・クムオクにバックヒールで狙われた。ニアサイドに詰めていた山下はファーサイドに転がっていくボールに必死の反応を見せ、ゴールラインを越えようかという瞬間にセーブ。守護神のファインプレーで日本は1点リードを守り前半を終えた。ここで追い付かれていれば後半が苦しい展開になっていたことは想像に難くなく、勝負を分ける大きなプレーだった。

 山下はシュートの出どころは見えていなかったと話すが、「このボールスピードなら大丈夫かなと思いながら」だったと話す。そして「いい体勢だったからこそ足を運べたし、コンディションを上げられたこと。ボールの3分の2はゴールの中に入っていたけど、問題ないかなと。副審がゴールとフラッグを上げないようにアピールした」と、どこまでも冷静にこのピンチを乗り切っていた。

 初戦でも際どいミドルシュートを弾き出すなど、存在感が大きかった。この日はビルドアップの場面でも相手のプレスを引き付けてフリーの味方に渡すような余裕も見せ、チームに安心感を与えた。後半36分に1点差に迫られる失点を悔しがったものの、なでしこの守護神が五輪への切符を大きく引き寄せたと言え、2試合を通じてみればMVP級の活躍だった。

 高い身体能力に加え正確なキックも見せる山下の活躍は、パリ五輪で悲願の金メダルを狙う上では欠かせないもの。チームとしてみれば大きなピンチがないに越したことはないが、最後の砦として君臨した守護神にとって、自身の価値を高めるような2試合になった。

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