パリ五輪行き懸けた運命の北朝鮮戦へ前日練習を実施

　なでしこジャパン（日本女子代表）は、2月28日に国立競技場で行われるパリ五輪アジア最終予選の北朝鮮との第2戦に向けた前日練習を実施。相手監督から警戒すべき選手として名指しされたMF長谷川唯は、その発言に驚きながらも「そうやって言われるのは良いことだと思う」と話した。

　この最終予選は4チームが2チームずつに分かれ、日本は北朝鮮とのホーム&アウェーでの対戦になった。しかし、初戦に北朝鮮のホームで行われる予定だった試合は開催地の問題で二転三転し、アジアサッカー連盟（AFC）も介入するなかで2月21日にサウジアラビアのジッダで中立地開催されることが正式決定。日本チームは厳しい移動や寒暖差への対応も強いられる戦いになり、24日に迎えた試合は0-0で引き分けた。

　そして、このすべてが決まる第2戦に向け北朝鮮のリ・ユイル監督は日本チームについて「日本は大変すばらしい選手が揃う。ヨーロッパや世界で活躍している。その中でも長谷川選手の能力が高いと思う」と、イングランドのマンチェスター・シティ女子チームでプレーする長谷川を名指しした。

　練習後のミックスゾーンで長谷川は「本当ですか？　いるんですね、警戒する選手とか」と驚きながらの笑顔も見せたが、「そうやって言われるのは良いことだと思う」として、徹底マークが予期される状況について話した。

「1戦目はチームとしても個人としても何もできなかったので、インパクトのあるプレーができれば。自分が良いプレーをするのも大事だけど、相手がたくさん寄ってきてくれたらどこかが空いている。そこをうまく使って、自分が直接関わらなくてもほかの選手がやりやすいプレーをできたら良い。相手を引き付けるだけのプレーも必要だし、個人突破も必要だと思う。」

　北朝鮮は初戦で5バックでスタートし、試合途中で4バックに変更してきた。日本は昨年の女子ワールドカップ（W杯）は主に3バックで戦い、北朝鮮との第1戦は4-3-3を採用した。長谷川はこうした兼ね合いについて「そこまでメンバーを代えなくてもフォーメーションを変えられるのは強みだと思う。ベンチから変えると言われなくても、試合の流れや立ち位置で相手の嫌な位置に立てると思う。自分が指示を出すのもそうだし、空いているスペースをどう使うかも共有したい」と話す。チームの中心的な存在としてピッチ上のリーダーシップが期待される。

　アウェーゴールのルールはなく、延長戦、PK戦まで含めてこの第2戦のスコアですべてが決まる。女子W杯を戦ったメンバーからはMF宮澤ひなた、MF猶本光といった負傷離脱者も出た。大一番という言葉では足りないほどのゲームに、長谷川は「この舞台に立てるのは特別だし選ばれた選手しかプレーできないので責任も感じるけど、その特権というか、ここでできる喜びをしっかり感じながら。選ばれなかった選手、怪我で来られない選手のためにもしっかり自分たちがプレーで見せるしかない」と決意を語っていた。