野々村Jチェアマン、リーグ国立開催の意義を力説「ファン開拓にはすごく良い場所」

野々村芳和チェアマン【写真:徳原隆元】
野々村芳和チェアマン【写真:徳原隆元】

第2回理事会後、記者会見を開催

 Jリーグは2月27日(火)に2024年度 第2回理事会を開催し、理事会後に記者会見を開催した。記者会見には野々村芳和チェアマンが出席している。

 今回の理事会での決議事項は1点で、Jリーグ入会要件における入場者数に関する基準が改訂された。これまでは「入会直前年度のJFLのリーグ戦におけるホームゲームにおいて、1試合平均入場者数が2000人に到達することを目指して努力していると認められること」という条件だったが、これが「1試合平均入場者数が2000人に到達し、かつ年間入場料収入が1000万円に到達していること」に変更された。

 Jリーグは、この変更について、「今後の成長の基盤が整っていることを確認するという観点で基準を設定」したと理由を説明している。

 Jリーグの2024シーズンは、2月23日に開幕したが、史上初めてJ1からJ3までが同じ週末に開幕を迎えた。記者会見では、開幕節にスタジアムの総来場者が32万7639人となったことが発表された。

 これについて野々村チェアマンは「開幕としては史上最高の数字だったということは純粋に喜ばしいことだと思います。ゲームも、広島の新スタジアムであったり、J1では国立のマリノス対ヴェルディのゲームであったり、多くの人に伝わってほしかったことが、うまく伝わっていったのかなという感覚を持っています。また、DAZNの視聴率もすごく良かったという報告を受けていますし、リーグとしても地上波の放送を一昨年から増やしていますが、そこでの視聴等を含めて、最低でも600万人以上がゲームを見てくれました。これも含めて、良いスタートを切れたのかなと思っています」と、31年目のスタートを切ったJリーグの印象を語った。

 そして、今シーズンのJ1リーグの展望について野々村チェアマンは、「(J1からJ3まで)30試合あり、全試合を見ることができていないので難しいのですが」と前置きしたうえで、「開幕戦だからというのもあると思いますが、本来もっと力があるはずなのにうまくいかなかったチームがあったり、難しいだろうなというチームが健闘していたりして、そんなに差がない、混戦になるだろうなと感じました。また、たまたま見たゲームがそうだったのかもしれませんが、インテンシティーがすごく高く、すごく良いゲームをしていました。サッカーの技術がどうとか、戦術がどうというよりも、気持ちが伝わってくるゲームが多かったかなと思います。また、それを引き出すだけのスタジアムの雰囲気を作ってくれたサポーターがいたことも大きかった」と、試合の内容や雰囲気についての手応えも口にしている。

新スタジアムで白星スタート、広島のさらなる成長に期待

 広島には新たに新スタジアムである「エディオンピースウイング広島」が完成し、開幕戦の浦和レッズ戦(2-0)でも使用された。野々村チェアマンは、開幕戦には行けなかったものの、こけら落としとなった2月10日のガンバ大阪とのプレシーズンマッチには足を運んだことを明かし、「あのエリアにスタジアムができたのは、当然ながら話題にもなりますし、ワクワクします。そのワクワク感というのは多くの人、広島の人だけでなくてアウェーの人も、サッカーに興味がなかったけれど広島に行った人にも影響を与えるだろうなと思います」と、新スタジアムが多くの人を惹きつけることに期待した。

 さらに「何年後かに『このスタジアムができたから、サンフレッチェ広島がこんなに強くなった、こんなに良くなった』というのをある意味、見せないといけないプレッシャーもあるかもしれません。でも、それもクラブとしては楽しみの1つ。非連続の成長をしていくなかで、こんなチャンスはめったに訪れることはないので、いろんな意味で期待が持てるのかなと思っています」と、過去3度のJリーグ優勝を果たしている名門のさらなる成長にも期待を寄せた。

 開幕戦でもう1つ大きな注目を集めたのが、国立競技場で行われた東京ヴェルディと横浜F・マリノスの一戦だった。今シーズン、Jリーグはこの試合を含めてJ1リーグ12試合、J2リーグ1試合の計13試合を国立競技場で開催する。「THE国立DAY」と題された13試合について野々村チェアマンは「地方から出てきて関東近辺に住んでいて地元のクラブとなかなか接点が持てない人を含め、サッカーと触れ合ってもらいたい人はたくさんいます。サッカーに関わりたいけれど、もう少しで、あと一歩で関われていない人というのは、東京周りに1600万人いることが、いろんな調査で分かっています。

その人たちに、あと一歩を踏み出してもらうには、国立競技場はすごく良いと思っています。新しく初めて来た人の3割が、もう1試合見に来てくれているというデータも、昨年、一昨年で取れています。自分の地域に戻って、自分の地域のクラブを見てもらうことを含め、一過性ではない政策として、国立競技場をいろんな地域のクラブに使ってもらうことは、新しいファンの開拓には、すごく良い場所かなと感じています」と、国立競技場で試合を開催する意義について語った。

 なお、Jリーグは2026-27シーズンから秋春制に移行することを正式に発表している。進捗状況が気になるところだが、今回の理事会は現メンバーでの最後の理事会ということもあり、「今日は話すタイミングではなかった」(野々村チェアマン)と、話し合いが行われなかったことも明かされている。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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