「なぜ出られないのか」 荒木遼太郎が明かす鹿島での苦悩、長友から授かった“金言”【インタビュー】
FC東京で「心機一転」…ベテラン選手とも積極的に会話
2023年12月24日、FC東京のファン・サポーターには新シーズンに向けた“クリスマスプレゼント”が届いた。鹿島アントラーズからMF荒木遼太郎を期限付き移籍で獲得したことがクラブから発表されたのだ。
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2020年に東福岡高校から鹿島アントラーズに加入すると、1年目からリーグ戦26試合に出場して2得点を記録。2シーズン目にはJ1リーグで36試合に出場して10得点を挙げる活躍を見せた。10代の選手が二桁得点を挙げたのは、元日本代表FW城彰二氏以来、史上2人目のこと。この年のベストヤングプレーヤー賞を受賞した荒木は、翌年にはA代表にも初招集された。
この活躍もあり、鹿島からは背番号10を託された。しかし、3シーズン目に入ると負傷に苦しめられる。5月には腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板溶解術という手術を受けて3か月の治療を行った。その後、9月に復帰したがパフォーマンスは上がらず。U-15年代から世代別代表にも選ばれ続け、パリ五輪代表でも主力になることが期待されていたが、代表からも声がかからなくなった。
続くプロ4年目の昨季は、再起のシーズンとなるはずだった。しかし「3年目は怪我で仕方ないなと思っていたんですけど、昨年はコンディションも崩しているわけではなかったですし、正直、なぜ出られないのかも分からなかった」という。結局、3年目と同じく13試合の出場にとどまり、プロ入り後初めてリーグ戦ノーゴールに終わった。
「心機一転するために、環境を変えたかった」という荒木は、4年間を過ごした鹿島を離れる決断を下す。そして選んだのが、昨季11位でシーズンを終えたFC東京だった。
「わりと積極的に話しかけていく」という荒木は、FC東京の経験豊富なベテラン選手たちからもアドバイスを受けていた。「あまりサッカーの話はしない」と言うなかで印象に残っているものとして挙げたのは、DF長友佑都からの「全部、体幹で治る!」というものだった。
長友らしい直球なアドバイスに、その場にいた人たちが笑うと、荒木は真面目な顔で「イジっているわけではないんですよ」と続けた。
「体幹トレーニングを一緒にやっているわけではないのですが、一昨年、自分がヘルニアの負傷をしましたけど、佑都さんも大学時代にヘルニアで試合に出られない時期があったそうなんです。それで体幹トレーニングをやって治したと聞きました。そういうトレーニングが必要なんだって知ることができました」
順風満帆にプロキャリアをスタートさせた荒木だったが、その流れが変わるきっかけとなった負傷に関するアドバイスを得たことは、大きな意味を持つかもしれない。プロ2年目に10得点7アシストという記録を残したアタッカーは、日本代表のレジェンドであり、チームメイトの金言を胸に、再起を懸ける2024年シーズンに臨む。
[プロフィール]
荒木遼太郎(あらき・りょうたろう)/2002年1月29日生まれ、熊本県出身。東福岡高―鹿島―FC東京。J1通算88試合・13得点。テクニックと創造力にあふれたアタッカーで、2021年には城彰二以来史上2人目となる10代で2桁得点を達成、ベストヤングプレーヤー賞を受賞した。22年に腰椎椎間板ヘルニアに苦しみ、パリ五輪出場を目指す年代別代表からも遠ざかっており、新天地で完全復活の狼煙を上げる。
(河合 拓 / Taku Kawai)