視力を失った92歳老女の夢を実現…プレミアクラブの粋な計らいに海外喝采「美しい瞬間」
92歳のノッティンガム・フォレストサポーターに脚光
イングランド1部ノッティンガム・フォレストは現地時間2月17日、プレミアリーグ第25節でウェストハムと対戦し2-0で勝利した。ホームで快勝を飾ったなか、この試合ではある老年の女性サポーターにスポットが当たった感動の瞬間が話題になっている。
リーグ下位に沈むノッティンガムはこの試合、前半アディショナルタイム5分にペナルティーエリア内で上手くボールをコントロールしたFWタイウォ・アウォニーが左足で冷静にネットを揺らし先制に成功する。
後半に入ると、同26分にウェストハムMFカルビン・フィリップスが2枚目の警告を受けて退場し、流れはノッティンガムへ。2点目が遠かったものの、同アディショナル5分に右クロスを最後はFWカラム・ハドソン=オドイが右足で蹴りこんでとどめを刺した。
この結果を受け、ノッティンガムの勝ち点は24(6勝6分13敗)に。降格圏との勝ち点差を4とし、1部残留へ前進している。そんな大きな1勝を挙げた試合で、見どころはほかにもあったようだ。ノッティンガムの公式X(旧ツイッター)は2月20日、1人の女性サポーターにフォーカスした動画を公開した。
そこに収められていた女性とは、92歳のベラ・ヒルさん。投稿内の説明によると、生涯にわたるノッティンガムサポーターでシーズンチケットの保有者であったものの、視力を失い始めた15年前にその権利を手放したという。
ただ、ヒルさんにとって最大の願いだったのがクラブのアンセムとも言える1曲「Mull of Kintyre」をピッチサイドで再び聴くこと。今回の動画は、ノッティンガムがヒルさんをスタジアムに招待し悲願を実現させた一コマだ。
公開された動画でヒルさんは当初、孫と見られる男性と座って曲を聴いていたが、エンディングに近づくと感情を抑えきれなくなったのかすっと立ち上がった。そして、詰めかけたサポーターの大合唱を背に感極まる表情を浮かべている。視力に問題を抱えているため目の前の光景を脳裏に焼きつけることはできないかもしれないが、ヒルさんの様子から察するにこれまでクラブとともに歩んできた大切な思い出が1つ1つ甦ってきているのかもしれない。
この動画は公開後に大きな話題となり、1日を経たずして再生回数が715万を突破。さらに、コメント欄には「フットボールが持つ美しさ」「ファンなしにフットボールは成り立たない」「美しい…素敵なクラブ」「美しい瞬間」「フォレスト、本当によくやった!」「なんて素晴らしく優しい対応」など、称賛や感動の声が寄せられた。
また、ヒルさんの愛息も今回の投稿に反応。「母とこのクラブをとても誇りに思います。信じられないご厚意で、母にとっての喜びは1週間、1か月、1年、生涯にわたって続くでしょう。ノッティンガム・フォレストと素敵なコメントをくれた皆さん、ありがとうございます」とコメント欄に感謝を綴っている。