「我々には明確なスタイルがある」 山形・渡邉監督がJ1昇格へ闘志「すべて勝つくらいの結果で」【インタビュー】
新戦力はクラブ史上最多の14人も全体像の共有は「想像以上に早く進められた」
J2モンテディオ山形は今季、「山形一丸」のスローガンを掲げ、プレーオフでJ1昇格を逃した過去2シーズンの雪辱を期すシーズンを迎える。就任2年目で初めてシーズン前のキャンプから指揮を執る渡邉晋監督に、開幕へ向けたチーム状況や意気込みを訊いた。(取材・文=石川 遼)
【PR】ABEMA de DAZNで欧州サッカー生中継!伊東・鎌田ら注目の日本人選手所属クラブの試合を一部無料生中継!
◇ ◇ ◇
山形は1月半ばに静岡県御前崎市で一次キャンプをスタートさせ、その後は鹿児島県霧島市での二次キャンプを行った。そして、現在は千葉県市原市での三次キャンプで、ジェフ千葉との開幕戦に向けた最終調整を行っている。
チームの顔ぶれは昨季から大きく変化した。13ゴールを挙げてチーム得点王だったポルトガル人MFチアゴ・アウベスなど主力選手が抜けた一方で、復帰も含めて新戦力はクラブ史上最多タイの14人。チームの半数が入れ替わったが、渡邉監督は「新しい選手も多く入ってきたなかで、全体像をどれぐらい落とし込めるか、共有できるかということがキャンプで一番大事だと思っていましたが、その部分は非常にスムーズに、想像以上に早く進めることができてるなと感じています」とチーム作りが順調に進んでいると手応えを明かす。
「もともと我々には明確なスタイルがありましたから。編成の部分でも、チームのスタイルに合致する選手を獲得するというところで進められたのが大きかったと思います。それを理解して、あるいは魅力を感じて集まってきてくれた新しい選手たちなので、そういった部分もやっぱり大きな要因かなと思っています」
昨季途中に就任した渡邉監督にとっては、山形の監督として初めてのキャンプとなる。特に力を入れたのは、リーグ戦42試合で54失点を喫した守備面の改善。分析スタッフからも意見を吸い上げ、細部にまで徹底的なこだわりを見せる。
「守備に関しては、選手1人1人の身体の向きなど、細かいところにまでこだわってトレーニングをしています。新たにJ2のほかのチームから加入したスタッフもいて、彼らから山形の守備の危うい部分はどこなのかという意見を聞き入れ、まずはそこを克服していこう、と。昨季まで我々の武器の1つでもあったウインガーのちょっとした攻め残りもなくしていかなければならない、といったことなどを選手たちにも伝えてきました。実際に選手は相当意識高く取り組んでいますし、大きく変化した部分になると思います」
オフには佐藤尽コーチとともに渡欧し、プレミアリーグのクラブを視察。選手個々へのアプローチを強めたトレーニング法を早速取り入れるなど、チーム作りへと生かしている。
千葉との開幕戦は「重要な一戦になるのは間違いない」
山形は2シーズン連続で昇格プレーオフに進出しており、今季の目標として掲げるのは当然「J2優勝」。渡邉監督はチームをさらなる高みへ導くため、“勝利”という結果を追い求めていくと言葉に力を込めた。
「(それは)昇格するための手段というよりは、J2で優勝すれば当然昇格というものがついてくるという考え方。キャンプでは練習試合も重ねてきていますが、その練習試合にもすべて勝つくらいの結果で進まなきゃいけないと思っています。そういった部分は、選手たちには強調して伝えています。勝てなくても良い内容の試合というのもあって、反省から得られるものもありますが、そもそもすべて勝つためにやっている。そういったことを選手たちも理解したうえで、トライしてくれていると感じています」
開幕のジェフユナイテッド千葉戦、そして第2節の栃木SC戦と関東でのアウェー2連戦でスタートする山形の2024年シーズン。渡邉監督は敵地にも足を運ぶサポーターのためにも勝利を届けたいと大事なオープニングゲームへの意気込みを語った。
「開幕戦はやっぱり特別なものだと思ってます。1か月半準備してきたものをしっかりとピッチで出せるかが問われるものすごく重要な一戦になるのは間違いありません。本当に優勝というものを掴み取るためには、毎節勝ち点3を積み重ねていくことがマストになってきます。
ホームタウンを離れて寂しく思っているでしょうサポーターもたくさんいると思います。彼らの前でしっかりとした姿を披露するということも大事なので、久しぶりに会うモンテのサポーターと一緒に勝利を分かち合えるようなゲームにしたいなと思います」
[プロフィール]
渡邉晋(わたなべ・すすむ)/1973年10月10日生まれ、東京都出身。札幌―甲府―仙台。2004年に現役引退後は指導者の道に進み、コーチを経て、2014年から仙台(14~19年)、山口(21年)、山形(23年~)と監督を歴任している。論理的プレーの落とし込みに長けた知将であると同時に、熱い一面も持つ。
(石川 遼 / Ryo Ishikawa)