J1戦力アップ「躍進候補クラブ」東日本勢4傑 昇格組・町田がいきなり旋風も【コラム】

東日本勢4クラブをピックアップ【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)& (C) URAWA REDS & 徳原隆元】
東日本勢4クラブをピックアップ【写真:2024 Asian Football Confederation (AFC)& (C) URAWA REDS & 徳原隆元】

新シーズン開幕へ効果的な補強に成功した東日本勢4クラブをピックアップ

 Jリーグ32年目のシーズン開幕がいよいよ目前に迫った。J1各クラブは新たな戦力を揃えて臨むなかでこのオフ、効果的な補強に成功したクラブはどこか。東日本、西日本のクラブに分けてそれぞれ4つを厳選して紹介する。まずは東日本編だ。

■浦和レッズ
(主な新加入選手)
FW チアゴ・サンタナ(←清水エスパルス)
MF オラ・ソルバッケン(←ASローマ)※レンタル
MF 渡邊凌磨(←FC東京)

 昨季は決定力に課題を抱えた浦和にとって、2022年のJ1得点王に輝いたチアゴ・サンタナの獲得は最大のヒットだろう。引退したホセ・カンテの穴埋め以上の活躍に期待が持てる。

 さらに渡邊凌磨、オラ・ソルバッケン、前田直輝(←名古屋グランパス)を迎え入れ、松尾佑介をベルギー1部ウェステルローからレンタル復帰させた前線は多士済々。さまざまな組み合わせや布陣の変化にも対応できる戦力が備わる。スウェーデン出身のサミュエル・グスタフソン(←ヘッケン)も中盤の構成力を高められる存在だろう。

 強固な最終ラインにはバックアッパーを補った一方で、明本考浩(→ルーヴェン)と荻原拓也(→ディナモ・ザグレブ)が抜けた左サイドバックは唯一の懸念事項。それでもノルウェーからやって来たペア・マティアス・ヘグモ新監督が求める攻撃スタイルを体現し得る陣容を手にしたと言える。

■FC東京
(主な新加入選手)
FW 小柏 剛(←北海道コンサドーレ札幌)
MF 遠藤渓太(←1.FCウニオン・ベルリン)※レンタル
MF 荒木遼太郎(←鹿島アントラーズ)※レンタル

 攻撃の軸を担った渡邊凌磨の流出は痛手ながら、札幌からストライカータイプの小柏剛、鹿島で10番を背負った荒木遼太郎を獲得。ともに昨季はインパクトを放てなかったとはいえ、持てる能力に疑いはない。新たな環境でブレイクする可能性もあるだろう。

 左ウイングを務めていたアダイウトン(→ヴァンフォーレ甲府)の後釜には遠藤渓太を補った。前任者とはタイプは異なるものの、推進力の高さは横浜F・マリノス時代に証明済み。ドイツで逞しさを増したドリブラーがフィットすれば、攻撃力の向上に期待が持てる。

 アルビレックス新潟の主軸を担っていた高宇洋の補強も好印象。球際の強さと素早いトランジションを武器とするボランチは、ピーター・クラモフスキー監督が求めるスタイルに適した人材と言えそうだ。

町田がJ1仕様のチームへと変貌、黒田監督の手腕に注目

■FC町田ゼルビア
(主な新加入選手)
FW ナ・サンホ(←FCソウル)
DF 昌子 源(←鹿島アントラーズ)
GK 谷 晃生(←ガンバ大阪)※レンタル

 J1初挑戦のクラブにとって、経験豊富な人材を複数確保できたのはポジティブな材料だ。なかでも昌子源の獲得は大きいだろう。昨季は本来の力を発揮できなかったとはいえ、元日本代表の実力者はピッチ内外で大きな影響力を与えていくはずだ。

 GKには谷晃生、最終ラインには昌子に加え、コソボ代表のイブラヒム・ドレシェヴィッチ(←カラギュムリュク)、中盤には仙頭啓矢(←柏レイソル)や柴戸海(←浦和レッズ)、前線にはナ・サンホらを補強し、各ポジションでバージョンアップに成功。圧倒的な強さでJ2を制した昨季のチームとは顔ぶれが大きく入れ替わることになるが、J1仕様のチームへと変貌を遂げている。

 この豊富なタレント陣を黒田剛監督がいかにチーム力へと昇華させていくのか。その手綱さばきが今季も町田の命運を握る。

■川崎フロンターレ
(主な新加入選手)
FW エリソン(←サンパウロ)
MF 山本悠樹(←ガンバ大阪)
DF 三浦颯太(←ヴァンフォーレ甲府)

 最強を誇った近年の川崎を支えてきた登里享平(→セレッソ大阪)、山根視来(→LAギャラクシー)、レアンドロ・ダミアン(→コリチーバ)らがチームを去ったことで不安要素も付きまとうが、新戦力への期待感が大きいのも事実だろう。

 不動の主力が抜けた両サイドバックには日本代表にも選ばれた三浦颯太と、オランダから“逆輸入”したファンウェルメスケルケン際(←NECナイメヘン)を補った。最終ラインには名古屋グランパスから丸山祐市も加わり、選手層も担保している。

 評価を高めているのがG大阪から加わった山本悠樹だ。優れたパスセンスを備えるセントラルMFは川崎の攻撃スタイルに速やかにフィット。ACL(AFCチャンピオンズリーグ)のラウンド16では早速存在感を放った。

 もっとも今季の川崎の浮沈のカギを握るのはそのACLでゴールを決めたエリソンら新たな助っ人たちだろう。彼らのパフォーマンス次第で、成果は大きく変わってくるかもしれない。

(原山裕平 / Yuhei Harayama)

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原山裕平

はらやま・ゆうへい/1976年生まれ、静岡県出身。編集プロダクションを経て、2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。

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