執念の劇的同点弾 リバプールを救った血だらけの救世主

「僕たちはきっと向上する」

 試合を優位に進めながらもリードを奪われたリバプールは後半45+2分に、FWファビオ・ボリーニが退場。ほぼ試合は決まりかけていた。だが、リバプールとシュクルテルにはほんのわずかだけ挽回の時間が残されていた。
 第四審判が掲げたボードには、ロスタイムの時間を示す「9」の数字。シュクルテルの治療に当てた時間だけが、絶望のレッズに残されていたのだ。そして、そのラストチャンスを最悪の一日を過ごしていた男がものにした。
 
「チームを助けるゴールを決めることができてうれしいよ。しかし、がっかりしている。チームが見せていたパフォーマンスを考えると、僕たちはもっとよりよい結果に値したはずだ」
 値千金の劇的弾を決めたシュクルテルは得点への喜びを語りつつも、勝利を逃した不満を隠すことはなかった。ただし、低迷するチームの中に一筋の光が差し込んできていることも実感しているようだ。
「次の試合に備えなければならない。今日のようなパフォーマンスを続ければ、僕たちはきっと向上する。今の僕たちに必要なのは、3ポイントだよ」
 昨季はリーグ7得点を記録して攻守に渡って大活躍したが、今季は現時点で早くも24失点と崩壊した守備陣を支え切れず。低調なパフォーマンスに終始してきた。今季初得点を挙げ、たけり叫んだシュクルテル。それは、自らとチームの復調への合図にも聞こえた。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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