小野伸二へ「感謝の寄せ書き」大盛況の内幕 海外旅行者も称賛…担当者が最も印象に残ったのは?【インタビュー】
児童や保護者のみなさんが喜んでくれた小野伸二&都倉賢の学校訪問
プロサッカー選手としての小野伸二現役ラストマッチとなった2023年J1最終節・北海道コンサドーレ札幌対浦和レッズ戦、試合終了後、恒例の最終戦セレモニーが行われると選手たちは一旦退場し、引退セレモニーへの準備が開始された。ピッチのセンターサークルには、北海道リラ・コンサドーレ(北海道コンサドーレ札幌女子サッカーチーム)の選手たちの手によって丁寧に運び込まれた直径18メートルの巨大な円形の幕が広げられた。小野の姿が描かれたその幕には、現役を引退する小野へのメッセージがぎっしりと書かれていた。この寄せ書きを発案し実現させた服部祐子さんが、ラストマッチイベントの舞台裏について語った。
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入社以来いろいろな役割を担当してきたのですが、現在、ホームゲームイベント担当になって2年になります。小野伸二選手がコンサドーレに来るかもしれないという話が持ち上がった時には信じられなくて「こんなことがあるんだ」とびっくりしたのを覚えています。
伸二さんとの出会いは、伸二さんが来られた2014年。当時はホームタウン担当をしていて、伸二さんに小学校訪問に来てもらうことがありました。小学校訪問は、若い選手ですと子供たちの前で何を話したら良いのか分からなかったり、どう振る舞えば良いか分からなかったりするんですが、伸二さんはすべて分かっていらっしゃって、先生が子供たちにどんなことを伝えてほしいかを理解したうえで、その場を盛り上げてくださいました。
その時は、小野伸二選手と都倉賢選手の2人を連れて行ったのですが、子供たちも保護者のみなさんも大喜びで、すごく充実した時間になったなという印象でした。
道内5か所で総勢2000人が寄せ書き
現役ラストマッチに向けては、スタジアムの中と外でどんなイベントをして伸二さんを送り出すのか、話し合いを重ねました。引退の記念すべき試合に来たと分かるようなものをと考えていました。そんななかで、伸二さんのこれまでの歴史を振り返る展示物が必要だと考え、他クラブから写真を取り寄せて、最寄駅からスタジアムへ向かう道中に伸二さんの写真を飾りました。
セレモニーの組み立てを一緒に考えているなかで、事前イベントを企画しました。せっかくなので大きなものを作りたいと思っていたんです。最終的には、センターサークルに広げられるように直径18メートルの大きな円形の幕を作ることになりました。そこにファン・サポーターのみなさんに寄せ書きをしてもらいたいと思って、道内5か所に幕を持って行ってメッセージを募り、総勢2000人ぐらいのみなさんに寄せ書きをしてもらいました。
「サッカーをはじめたのも、いつも勇気を与えてくれたのも伸二さん」の熱いメッセージ
多かったメッセージは「このあともぜひ札幌に残ってくださいね」や「札幌に来ていただいてありがとうございます」といった感謝の言葉でした。ジーンときたメッセージがいくつもありました。
「伸二さんのプレーを身近で感じることができて幸せでした!」
「札幌に来てくれてありがとうございました!小野選手が赤黒のユニフォームを着て戦ってくれたことは一生忘れません!」
「同い年、いつも私のヒーローでした!将来はコンサドーレの監督になってください!」
「サッカーをはじめたのも、いつも勇気を与えてくれたのも伸二さんです。世界一のサッカーを見せてくれてありがとう!」
そんな言葉が並びました。会場に来られるみなさんは、スマートフォンやメモ帳などに何を書くかをあらかじめ準備してこられていた方がすごく多くて、1つ1つのメッセージに心が込もっているのを感じました。
寄せ書き会場で印象に残ったのは、札幌テレビ塔での寄せ書きです。2014年に伸二さんの加入会見をした場所が札幌テレビ塔でした。寄せ書きに来られた方の中には「加入会見の時に抽選で当たって参加したんだよね」や「伸二さんが新千歳に降り立った時に空港に迎えに行ったんだよ」と、伸二さんとの思い出を語りながらメッセージを書いてくださる方が何人もいらっしゃいました。
寄せ書きに来てくださる方のほとんどはファン・サポーターでしたが、札幌テレビ塔は観光名所ですので、たまたま札幌に観光に来られた方や海外から旅行に来られた方もいらして、「小野伸二はキングだよ」と言ってメッセージを書いてくれた時に誇らしく思って、印象に残りました。
小野伸二というサッカー選手は、この先の10年、20年で出てくるかどうかの日本サッカー界の宝だと思うんですよね。そんな選手がコンサドーレから引退されるということはなかなかありません。そういうビッグなイベントですから、クラブを挙げて良いものにしようという気持ちと、ファン・サポーターとクラブが一体になれるようなイベントにしなければという使命感を持ってやっていました。
イベント後にこみ上げた寂寞感「もう現役でプレーする伸二さんを見ることができないんだな」
クラブスタッフだけではなく、時間の少ない中で寄せ書き用の幕を作ってくれた業者の方々やセレモニーの進行を手伝ってくれた方々にもお世話になりました。タイトなスケジュールの中でも「小野伸二選手の引退だから」「自分たちが頑張るから」と言って労を惜しまずにやってくれたことがすごく嬉しくて、助けられたなと思います。
当日はすごくいい形で伸二さんを送り出せたと思いますし、ファン・サポーターのみなさんにもすごく喜んでいただけて、「しっかり伸二さんを送ってあげられた」と感じていただけたと思います。
イベントのすべてが終わってから、急に悲しい気持ちが込み上げてきました。「もう現役でプレーする伸二さんを見ることができないんだな」と思うとすごく寂しい気持ちになりました。
でも、寄せ書きのメッセージにも多くありましたが、伸二さんがこれからもコンサドーレに関わってくださると思って、楽しみにしていようと思います。
(mm)