アンリが指導者転身に向けて「ゆっくりとプロセスを踏みしめるつもり」

未来のガナーズを率いるために

 元フランス代表FWで現役引退を表明したティエリ・アンリが、古巣アーセナルなど監督業について時期尚早として一歩ずつを強調した。親友でNBAサンアントニオ・スパーズのポイントガードのトニー・パーカーがパーソナリティーを務めるフランスラジオ局「RMC」の番組に出演して今後の進退を明らかにした。
 1994年モナコでデビューしたアンリは、今年12月、ニューヨーク・レッドブルズの今季全日程終了後、37歳にしてサッカー人生のキャリアに終止符を打った。
 フランス代表とアーセナルの歴代得点王の肩書を保持する“キング・アンリ”はスパイクを脱いだ現在の心境をこう吐露した。
「少し変な感じだよ。今ようやく自分のキャリアを振り返ることができるようになった。そこに考察を加えるなんて奇妙な感じだよ。簡単な決断ではなかった。反省をささげてきた仕事だからね。素晴らしい瞬間だったから後悔はない。ドレッシングルーム、ビッグゲームの夜、ケガしたこと、いつも寂しく思うだろうけど、それは普通なこと」
 希代のカリスマには恩師アーセン・ベンゲル監督の後継者としてガナーズを率いる待望論が高まっている。アンリ自身も監督就任に前向きな姿勢を示してきたが、今すぐとは考えていないようだ。
「私は指導者の試験をパスしなければいけないし、監督になるための資格を手にしなければいけない。指導者になる前に、自分自身にいろいろなことを身につけなければいけない。それが最初のステップ。サッカーのことは少しは知っているから、他の人間にサッカーの流れなどを教える手助けはできた。分析することができる。スカイでできることは全て持っている。フットボールが私に与えてくれたことを還元したい」
 現役引退後は衛星放送スカイの解説者を務めることが決まっているアンリはそう語った。監督業の厳しさをアンリは知っている。
「選手時代の私は練習場に行って、あとは帰宅するだけ。でも、監督は練習後も残り、翌日の準備を進める。そして、翌日には選手に“なぜ、オレは試合に出れないんだ”と聞かれる。そして、別の人間も同じ質問しに来る。選手の時には想像すらしないことだよね。だから、勉強して、別の人生について学び直す必要があるんだ。スポーツについても別の側面から見つめる観点を養わなければいけない。ゆっくりとプロセスを踏みしめるつもりなんだ。素晴らしい現役時代を過ごしたからといって、いい監督になれるとは限らないじゃないか」
 圧倒的なスピードと華麗なテクニックでゴールを量産したアンリだが、監督業への階段はゆっくりと着実に踏みしめるつもりだ。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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