なぜラツィオ鎌田大地の出番激減? イタリア人記者を直撃…「孤立し溶け込んでいないからだ」【現地発】
イタリア紙の記者が語った鎌田の現状、終盤戦での挽回に期待「プレーさせると思う」
アジアカップの日本代表メンバーから選外となったイタリア1部ラツィオのMF鎌田大地は、所属クラブで5試合連続の出場なしと苦境が続いている。現地のイタリア人記者を直撃。イタリア紙「イル・メッサジェッロ」(https://www.ilmessaggero.it)のアルベルト・アッバーテ記者は、「鎌田は孤立してチームに溶け込んでいない」と持論を展開する一方、「徐々にまたプレーさせると僕は思うよ」と今後を展望している。(取材=倉石千種)
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現在27歳の鎌田は、2015年に東山高校からサガン鳥栖へ加入すると、プロ1年目からJ1リーグで21試合出場3ゴールと活躍。2年目からスタメンに地着し、主力としてフル稼働した。2017年にドイツ1部フランクフルトへ完全移籍。ベルギー1部シント=トロイデンへの期限付き移籍を挟み、再びフランクフルトに戻ると4シーズンを戦い、2021-22シーズンにはUEFAヨーロッパリーグ(EL)制覇に貢献した。
2023年夏に満を持してラツィオに移籍。今季はここまで公式戦22試合に出場し、1ゴール1アシストの結果を残している一方、直近では公式戦5試合出場なしの状態となっている。
「なぜ鎌田大地はプレーしていないのか?」という質問をイタリア紙「イル・メッサジェッロ」のアルベルト・アッバーテ記者に投げ掛けると、今季限りでチームを去る可能性について触れている。
「今、フォルメッロ(ラツィオの練習場)で、鎌田は孤立してチームに溶け込んでいないからだよ。もう今年の6月にさようならするから、頭がそっちへ行っているのだ」
鎌田の周辺では移籍話も浮上している。イングランド1部ニューカッスル、フランス1部マルセイユ、トルコ1部ガラタサライ、スペイン1部レアル・ソシエダやバレンシアなどの新天地候補が次々上がっている。鎌田とラツィオの契約は、延長オプション付きの1年と言われており、このままいくと今夏にフリートランスファーで移籍の可能性もある。
熾烈なポジション争いを繰り広げている鎌田だが、まだ挽回の余地はあるとアッバーテ記者は分析。日本人MFはチームに貢献できると期待を寄せている。
「ラツィオのクラウディオ・ロティート会長はサッリ監督に嘆いていた。ただ鎌田を獲得したことで、UEFAチャンピオンズリーグでは貢献しているし、徐々にまたプレーさせると僕は思うよ。クラブ的にはもうコストゼロになってしまったから、彼の価値を高めることに興味がないかもしれないが、プレーさせると思う」
シーズン終盤に突入するなか、鎌田は自らの存在価値を示すことができるだろうか。
(倉石千種 / Chigusa Kuraishi)
倉石千種
くらいし・ちぐさ/1990年よりイタリア在住。1998年に中田英寿がペルージャに移籍した時からセリエAやイタリア代表、W杯、CLをはじめ、中村俊輔、本田圭佑、長友佑都、吉田麻也、冨安健洋など日本人選手も取材。バッジョ、デル・ピエロ、トッティ、インザーギ、カカ、シェフチェンコなどビッグプレーヤーのインタビューも数多く手掛ける。サッカーのほか、水泳、スケート、テニスなど幅広く取材し、俳優ジョルジョ・アルベルタッツィ、女優イザベル・ユペール、監督ジュゼッペ・トルナトーレのインタビューも行った。