ラツィオ鎌田大地の“リアル評” イタリア人記者が「練習でも幽霊のよう」と語る理由は?【現地発】
ラツィオ専門サイトの記者を直撃、現在の鎌田は「存在感がなくなっている」
アジアカップの日本代表メンバーから選外となったイタリア1部ラツィオのMF鎌田大地は、所属クラブで5試合連続の出場なしと苦境が続いている。現地のイタリア人記者を直撃。ラツィオ専門サイト「cittaceleste」(https://www.cittaceleste.it/)が鎌田について言及し、「こういう状況から抜け出さなきゃ、ビッグクラブになんか移籍できないよ」と語っている。(取材=倉石千種)
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現在27歳の鎌田はJ1のサガン鳥栖、ドイツ1部のフランクフルト、ベルギー1部シント=トロイデンなどでプレー。2021-22シーズンにはフランクフルトでUEFAヨーロッパリーグ(EL)制覇に貢献し、一躍脚光を浴びた。2023年夏にラツィオに移籍し、今季はここまで公式戦22試合1ゴール1アシストの結果を残しているものの、熾烈なポジション争いのなかで直近は公式戦5試合出場なしの状態となっている。
ラツィオ専門サイト「cittaceleste」のステファノ・ベネデッティ記者は、「鎌田はサッカー的に死んだ」と独特の言い回しをしながら現状について語っている。
「鎌田には大きな失望を感じている。ドイツで活躍した選手だから、ラツィオにも手を貸してくれると思っていた。今、鎌田は頑張って状況を大きく転換しなければ、ヨーロッパの小さなクラブを転々とするしかなくなるよ。こういう状況から抜け出さなきゃ、ビッグクラブになんか移籍できないよ」
鎌田は試合の要所でクオリティーの高さを見せつけているものの、徐々に出場機会が減っており、マウリツィオ・サッリ監督の信頼を得ているとは言えない苦境に立っている。
「クラウディオ・ロティート会長は、鎌田を活躍させろと言っているようだが?」と質問を投げ掛けると、ベネデッティ記者は「会長がいくらそう言ったところで、ピッチ上のプレーで納得させて、チームの役に立たなければ起用できない。5試合出ていないんだ。ゼロだよ、ゼロ」と答えている。
鎌田の周辺では次々と移籍話が浮上。イングランド1部ニューカッスル、フランス1部マルセイユ、トルコ1部ガラタサライ、スペイン1部レアル・ソシエダやバレンシアなどが新天地候補として上がっていた。
果たして、そうした移籍の噂も鎌田の状況に関係しているのか。ベネデッティ記者の答えは明快だった。「関係ないよ。練習でも幽霊のように、存在感がなくなっているからだよ」と見解を示している。
イタリアで苦境が続く鎌田はラツィオで道を切り開くのか。あるいは新天地での再出発を図るのか。今後の展開に注目が集まる。
(倉石千種 / Chigusa Kuraishi)
倉石千種
くらいし・ちぐさ/1990年よりイタリア在住。1998年に中田英寿がペルージャに移籍した時からセリエAやイタリア代表、W杯、CLをはじめ、中村俊輔、本田圭佑、長友佑都、吉田麻也、冨安健洋など日本人選手も取材。バッジョ、デル・ピエロ、トッティ、インザーギ、カカ、シェフチェンコなどビッグプレーヤーのインタビューも数多く手掛ける。サッカーのほか、水泳、スケート、テニスなど幅広く取材し、俳優ジョルジョ・アルベルタッツィ、女優イザベル・ユペール、監督ジュゼッペ・トルナトーレのインタビューも行った。