日本代表「相当悪かった」「相手は正直楽」…低評価は? 金田喜稔がイラン戦出場15選手を採点
【専門家の目|金田喜稔】鈴木は「ミスを怖がらずに積極性なプレー」、DF陣は低調
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング17位)は、2月3日にカタールで行われたアジアカップ準々決勝でイラン代表(同21位)と対戦し、1-2で敗れてベスト8で敗退が決まった。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した日本代表の15選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。
◇ ◇ ◇
<GK>
■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★☆☆
2失点はいずれも防ぐのが難しかった。この日はビッグセーブも見せており、ハイボールの対応でも不安定さはなかった。相手のチャンスでも思い切りの良い飛び出しでシュートを阻止しており、ミスを怖がらずに積極性なプレーを心掛けていた点は評価したい。
<DF>
■毎熊晟矢(セレッソ大阪)=★★★☆☆
攻撃時のポジショニングは秀逸ながら、徐々にチーム全体の仕掛けが減り、持ち味を生かせる場面も限られた。やや不安定な板倉のカバーなども意識し、守備に力を割かざるを得なかった点は悔やまれる。
■冨安健洋(アーセナル)=★★☆☆☆
対人では強さを発揮していたが、1失点目の場面では前を向かれてやられ、2失点目の場面では板倉とお見合いする形からPK献上。守備陣全体も安定感を欠き、後半は終始後手に回る展開となり、守備陣は耐える以外にない難しい状況だった。
■板倉 滉(ボルシアMG)=★★☆☆☆
今日のパフォーマンスは相当悪かった。1点目もスペースを突かれ、それ以外でも簡単にやられるシーンも見られた。2失点目につながるファウルの場面は仕方ない側面もあったが、90分を通じて低調かつ不安定だった。
■伊藤洋輝(シュツットガルト)=★★☆☆☆
レフティーという特徴を生かしたかったが、ビルドアップやクロスの面で貢献できなかった。相手を混乱させるようなポジションニングもなく、同じような形でボールを受けてパスという単調な形が続いた。自分からドリブルで仕掛けて脅威を与える場面も少なく、プレーに変化が乏しいため、相手としては正直楽だったと思う。
「局面での判断力」が光った守田、久保のピンポイントクロス「1点もの」
<MF/FW>
■遠藤 航(リバプール)=★★★☆☆
ビルドアップで変化を加え切れず、単調なパス回しに終わってしまった。守備では相手のロングボール対応に苦慮。こぼれ球を拾い切れない場面も見られた。それでも要所で遠藤の対人の強さを見せ、悪い出来ではなかったが際立つパフォーマンスでもなかった。
■守田英正(スポルティング)=★★★★☆
→後半45+9分OUT
ゴールの場面では大胆な上がりと局面での判断力が際立った。あそこに入っていけるのは守田の良さで、本来は高い位置でのプレーはもっと続けてほしかった。個人としてのパフォーマンスは上々だったが、徐々にチームの機能性が低下し、彼の良さも発揮しづらくなってしまった。
■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★☆☆
→後半22分OUT
上田へのピンポイントクロスは1点もので、あれが決まっていれば勝利していた可能性も。左右にポジションを変えたりしながら、攻撃に変化を加えようと尽力。相手も久保を捕まえ切れない場面も見られた。残念なのは、チームとして久保を生かせるような構造になっていないことだろう。
■堂安 律(フライブルク)=★★★☆☆
→後半45分OUT
久保と良い距離感で絡んだ時は可能性を感じさせるも、それ以外ではあまり怖さが感じられない。個で打開できる伊東純也との差をより顕著に感じた試合。それでも守備では献身的なランニングを見せ、球際でも粘り強くボール奪取を狙っていた。
■前田大然(セルティック)=★★★☆☆
→後半45+7分OUT
スプリント力を生かした守備での貢献度は高く、その面においては確かに役割を遂行した。しかし一方で、アタッカーとして脅威を与えたかと言えば疑問が残る。守備専門のアタッカーになってしまっては怖さがない。ワンランク上を目指すならば、ボールを持っている時のアイデアや工夫は今後の課題だろう。
■南野拓実(ASモナコ)==★★☆☆☆
←後半22分IN
苦しい状況のなかで投入されるも効果的なプレーは見られず、そのまま流れに飲み込まれた。後手を踏んでいる状況のなか、持ち味をほとんど発揮できないまま終わった。
チームとして「三笘を生かす形」を作れなかった
<MF/FW>
■上田綺世(フェイエノールト)=★★★☆☆
久保からのピンポイントクロスに合わせるのは難しかったとはいえ、あれが決まっていればと思わずにはいられない決定機だった。身体を張ってボールをキープし、ゴールの場面でも起点となっており、イランの選手に全く引けはとっていなかった。チームとしてチャンス自体が少なかった点は悔やまれる。
■三笘 薫(ブライトン)=★★☆☆☆
←後半22分IN
相手に相当警戒され、基本的に2人がかりで止めにこられた。あの状況ではさすがの三笘も打開が難しいだろう。チームとして「三笘を生かす形」を作れなかったのも遠因。三笘が相手2人を引き付けた時、周りのサポートや動きの工夫が足りないか。とはいえコンディションは万全とは言えず、見せ場を作れなかった。
■浅野拓磨(ボーフム)=※時間短く採点なし
←後半45+7分IN
■細谷真大(柏レイソル)=※時間短く採点なし
←後半45+9分IN
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。