冨安健洋、A代表初ゴールの敵将と再対戦 若武者が“ピッチ上の監督”へ飛躍した舞台裏【現地発】
前回大会、ピッツィ監督率いるサウジ戦でゴール
森保一監督率いる日本代表は1月31日にカタール・ドーハで行われているアジアカップの決勝トーナメント1回戦でバーレーン代表と対戦する。ラウンド16を突破するための絶対的な存在はDF冨安健洋。グループリーグ(GL)で守備の立て直しに貢献した25歳がベスト8入りへ導く。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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「相手どうこうより自分たちにフォーカスすべきだよね、というのが2試合終わってチーム内であった。シンプルにやるべきことをやっていなくて内容も結果も伴っていないと。今日は自分たちにフォーカスして表現する必要があった。そのなかで結果がついてきたので次につながったと思う」
3-1で勝利したGL第3戦インドネシア戦後に冨安はこう話した。やるべきことができずに苦しんだGLの2試合。ベトナム戦(4-2)、イラク戦(1-2)では守備陣のコンパクトさが欠けており、苦しい時間が続いた。
それを立て直したのが冨安だった。ベトナム戦はベンチ外、イラク戦の後半から出場し、先発復帰を果たしたのがインドネシア戦。「行け!」とうしろから声を張り上げて、前線の選手をプレスに向かわせる。MF久保建英は試合後に「行かないといけないので前の選手は疲れましたけど(笑)、それ以外のところでやっぱ落ち着いていますよね。彼の守り方的にはどんどん行ける時は行くで、うしろは1枚余っていたいと思う。どこもやっていることなので当たり前のことだけど、それをキャプテン以外の人が言ってくれるのはいいのかなと思う」と、冨安の“安定性”について語っていた。
次なるステージとなるバーレーン戦。相手を率いるフアン・アントニオ・ピッツィ監督は2019年UAE大会でサウジアラビア代表を指揮。ラウンド16で対戦したサウジアラビアに日本は冨安のA代表初ゴールで1-0の勝利を収めた。
20歳77日で記録したゴールはA代表参加の1992年大会以降アジアカップの最年少ゴール。当時「空間認知もあまりない」と苦手だったヘディングを克服しての一発で「喜び方も分からない」と話していた若武者だった。今大会ではさらに頼もしく、強く、発言でも姿勢でもチームを牽引している。
まるでピッチ上の監督となった冨安。その大きな存在で日本を再び8強の道へ連れて行ってくれるはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)