森保監督、GLの起用法を「解析」 メンバー変更ほぼなし→大幅ターンオーバーの舞台裏【現地発】
ラウンド16ではバーレーンと対戦
森保一監督率いる日本代表は、カタール・ドーハで行われているアジアカップでグループリーグ(GL)を2位で通過し、決勝トーナメント1回戦でバーレーンと対戦することが決まった。GLでは初戦のベトナム戦からイラク戦で2人変更、さらにインドネシア戦では8人変更。その起用法を解析する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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第1戦のベトナム戦(4-2)、第2戦のイラク戦(1-2)と完璧な出来ではなかった森保ジャパン。苦しみながらも2勝1敗で決勝トーナメントへ進出。3戦目となったインドネシア戦では、敗戦の悔しさ糧に見事に立て直した。
中6日で迎える一戦に向けてトレーニングを重ねている森保ジャパン。そのなかでGLでの選手起用をおさらいする。
ベトナム戦は苦戦しつつも4-2で勝利。フランストリオの伊東純也、南野拓実、中村敬斗、1トップはコンディションの最も良かった細谷真大、ボランチに遠藤航と守田英正、最終ラインは菅原由勢、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝、GKは鈴木彩艶だった。南野の2ゴール、中村のA代表デビューからの6戦6発となる一撃、途中出場の上田綺世が決めての4得点だったが、一時は相手に逆転を許すなど劣勢に陥った場面もあった。
次のイラク戦でボランチよりうしろは変更せず、2列目に伊東、久保建英のトップ下、南野を左サイドで起用。1トップは浅野拓磨で2人変更となった。この形で臨んだ森保監督にはどのような意図があったのか。
この形、特に南野の左サイドは第1次政権では起用の経験があったものの、世代交代が進みメンバーが大幅に変更となっている第2次政権では実戦で試したことがなかった。ベトナム戦でゴールした中村敬斗を温存してまで使った1つの要因は指揮官の中に「より幅を広げたなかで強くならないといけない」という考えが根本にあるから。さらに、自分たちの力を測りながら、レベルアップと勝利を同時に求めていく。
実際、南野の左サイド起用はうまくいかない部分も多かったが、後半から並びを変えて、伊東の左、久保が右、南野はトップ下に移った。これは昨年11月のシリア戦後半で試していた形。シリア戦でもこのオプションは強みとなっていたが、イラク戦でも攻撃が大幅に改善された。指揮官は常に幅を広げるトライも逃げずに行っている。
だからこそ、第3戦で大幅な8人の変更となった。まだ突破が決まっていないなかでの決断。もちろん、相手のレベルの差はあれど、より引き締まった試合でただ目の前の勝利を掴みにいった。
大会前は圧倒的な勝利を求められていた。もしかしたら世間からはまだ求められているかもしれない。ただ、今の日本代表も世界一を目指すうえでの過程で、アジア王者もその過程に過ぎない。その中の1試合、その中の前半、後半、10分、20分……。無駄な時間は1秒たりともなく、力に変えようとしている。
次のバーレーン戦でも指揮官は何かしらのトライをしながら1勝を目指すだろう。それはきっと将来につながっていく。その手腕を1試合でも多く見られることを願っている。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)