「賢い」「ズルしてる」と賛否 賭博処分より復帰FW…フリーキック直前の“行為”に注目
8か月振り復帰のブレントフォードFWトニーのFKシーンに注目
イングランド1部ブレントフォードは現地時間1月20日、プレミアリーグ第21節のノッティンガム・フォレスト戦で3-2の勝利を飾った。この試合が約8か月振りの公式戦復帰となったイングランド代表FWイバン・トニーは、見事な直接フリーキック(FK)で早速ゴールを挙げたが、その際のある行為に海外でも賛否が沸き起こっている。
イングランド下部リーグを渡り歩いてきた苦労人として知られるトニーは、ピーターバラ・ユナイテッドでプレーしていた2019-20シーズンに3部リーグで得点王に輝くと、翌2020-21シーズンにブレントフォードへ完全移籍。昨季はプレミアリーグでリーグ3位となる20得点を挙げた。
そんななか、トニーは23年5月にリーグの賭博規則違反によって8か月間の長期出場停止処分を受ける。処分は今年1月17日までだったため、20日のフォレスト戦が復帰初戦となった。
トニーはフォレスト戦のスタメンに名を連ねると、チームが1点ビハインドを負った前半19分に早速仕事をする。相手ペナルティーエリア手前やや右の位置で獲得したFKをトニーがセット。右足の一撃は壁の横からゴールネットに吸い込まれた。
ブレントフォードはその後、点の取り合いを3-2と制したなかトニーのFK直前の行動に注目が集まる。主審が使うバニシングスプレー(ボールの位置などを示すためのもの)を手に取って、相手の見ていない隙に線の位置、ボールの位置を若干外側にずらしていた。
このシーンはSNS上でも拡散され「普通に賢いプレー」「壁の位置がおかしいと思ってたら」「これVARの対象にならないの?」「ズルしてますよ!」「気づかなかった方が全面的に悪い」「かしこい」とファンからも賛否の声が上がる。
一方で英公共放送「BBC」はフォレスト側がこのシーンについてPGMOL(Professional Game Match Officials Limited/イングランドにおける審判員の統括組織)へ問い合わせたことを伝え、その回答も紹介されている。
「VARはボールのズレについて何もできないとルールで定められていることは明らかだ。試合の現実を変えてしまう可能性があるのだから、見直すべきことだ。私たちにも責任がある。なぜなら、審判団は何かを言うべきだったし、フリーキックを一旦止めるべきだったからだ。レフェリーも副審も気づかなかったのは残念だ。マークがあり、明確なボールのズレがあるのだから、レフェリーは見るべきだった」
一方で、英ポッドキャスト「The Footballer’s Football Podcast」に出演していたプレミア戦士2人は、この行為について肯定的な見解を述べた。ウェストハムFWミハイル・アントニオは「正直なところ、あまり話題にすることはないと思う。多くの選手が何年も前からそうしてきた。私はレフェリーに言うけれど、彼が聞くか聞かないかは別のことだ」とあっさりとした答えを示す。
またニューカッスルFWカラム・ウィルソンは「選手として、もしチームメイトが並んでいるなかでボールがずらされているのを見たら、私は味方を横にずらすことになり、ゴールキーパーは再調整しなければならない」と影響を伝えつつ「アタッカーからすれば、そうやって壁際からシュートを打てれば完璧だよね」と言葉を並べている。
英国でも賛否の起こったワンシーン。復帰早々に別の視点からも話題を集めたトニーだが、現状プレミアリーグからのお咎めはないようだ。