解決しない“守備問題”に韓国記者が嘆き&結果予想「韓国も日本も優勝できない」【コラム】
後半アディショナルタイム15分に同点弾を浴びてE組2位に
韓国代表は1月25日、アジアカップ・グループリーグ第3戦でマレーシアと対戦した。韓国は前半21分にコーナーキック(CK)からMFチョン・ウヨンがヘディングで先制するものの、後半6分に同点にされ、後半17分にはPKで逆転される。
それでも後半38分にオウンゴールで追い付くと、後半アディショナルタイム4分にはソン・フンミンがPKを決めて勝ち越したかに見えた。そのままならグループリーグで1位となり、次の対戦相手は日本となる。
ところがタイムアップが迫る後半アディショナルタイム15分、ロメル・モラールズが蹴り込んで3-3の引き分けに。この結果、韓国はグループリーグ2位になり、ベスト16ではサウジアラビアと対戦することになった。
韓国のニュースエージェンシー「NEWS1」のキム・ドンヨン記者は思わぬ同点劇にがっかりした様子を見せつつ、対戦相手が日本からサウジアラビアになったことについて語った。
「正直、日本とサウジアラビアと、どちらと対戦しても難しいチームなので、ベスト16の相手はそれほど重要ではなかったと思います」
韓国のユルゲン・クリンスマン監督が日本との対戦を避けた可能性はないだろうか。韓国がマレーシアを相手に3失点するのは不自然にも見える。
「もし監督や選手がこのような考えを持っていたとしたら、その人たちはプロフェッショナルではないし、代表選手の資格がないと思います。なぜなら、これは1つの不正になる可能性があるからです。そして正直、韓国国内では『どうせ優勝するには、いつか日本やイランと対戦しなければならない』という考え方がありました。ですから、日本を避けようとは考えていないと思います」
そして韓国には明らかな問題があるという。
「韓国は守備があまりにも安易で、セットプレーや守備の組織力について装備されたものが1つもありません。そしてDFキム・ミンジェの役割が多すぎます。これは守備陣4人だけでなく、11人全員の問題です。現代サッカーではすべての選手が守備も攻撃もするので、守備に問題があるというのは全体の問題なのです」
日本もグループリーグでは苦しんだ。対戦したらどうなったと思っていたのか。
「日本はインドネシア戦で少し良くなった部分が見えました。少しずつ調子を上げていると思います。ですが韓国はずっと停滞している部分がありました。第2戦のヨルダン戦は終了間際に追い付きましたが、今日は終了間際に追い付かれています。これは、調子が落ちてきているからです。だからベスト16で対戦していたら、どちらが有利だったかはっきり言うのは難しいと思います」
それからキム記者は韓国の中盤の構成力が弱いと嘆きつつ、「日本は本当に中盤が素晴らしい。久保建英、南野拓実、伊東純也、三笘薫、堂安律など、たくさんの選手がいますからね。ボランチでも遠藤航や守田英正がいるんですよ」と、スラスラと日本選手の名前を並べてみせた。韓国内では日本への関心が高いのだという。
韓国が2位になったことで、決勝トーナメントでは別のサイドになった。対戦するとなると決勝ということになる。日韓は頂上決戦で相まみえることになるのか。
そう聞くとキム記者は首を横に振った。
「韓国も日本も優勝できないと思います。今回は両チームとも調子が悪い。それに中東の国、サウジアラビアやイランの調子がとてもいい、私は中東の国が優勝すると思っています」
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。