森保ジャパンが抱える問題 英記者が指摘…解決しなければ「カタールを去ることになる」【コラム】
インドネシア相手に3-1と勝利
森保一監督の率いる日本代表は1月25日、アジアカップ・グループリーグD組の最終節でインドネシア代表を3-1で下し決勝トーナメント進出を決めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、GLを終えた森保ジャパンを分析している。
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日本がインドネシア相手に順当な勝利に向かっていたなか、森保一監督のチームを悩ませてきた問題が再び浮かび上がっている。
今大会の優勝候補のアキレス腱は、GK鈴木彩艶の怪しいハンドリングから失点したことでまたしても露わになった。
鈴木は3試合連続で、少なくとも部分的にはミスで失点に絡んだことになる。彼の不安定さはすでに前の2試合で日本の守備に影響を及ぼしていた。
しかし、森保監督はこの若いGKに信頼を持ち続けており、絶対に負けられない試合でもチームから外すことはなかった。この21歳のGKを中心に、それ以外のほぼ全員を入れ替えて試合に臨んだ。
8人の入れ替えはチームのリズムを乱す可能性もあったが、少なくとも後半アディショナルタイムの失点まではベトナム戦やイラク戦と比べてもより完成されたパフォーマンスを見せていた。
日本は守田英正を外し、守備をスクリーニングするのは遠藤航のみという布陣でスタートした。この森保監督の決断により、旗手怜央と久保建英の2人が8番の役割を担い、堂安律と中村敬斗はそれぞれのサイドでより自由にプレーすることができた。
そして、すぐに結果に表れた。堂安から上田綺世へのパスからPKを獲得し、それによって先制点がもたらされた。日本のリードが脅かされることは決してなかった。
実際、前半のサムライブルーには緊迫感が欠けていた部分もあったが、遠藤が注意深く試合のテンポをコントロールしたことで、逆転されるリスクはほとんどなかった。
インドネシアを油断させないように日本は時折ハイプレスをかけた。これにより、シン・テヨン監督のチームは自陣深くでボールを持っている時にリラックスすることはできなくなっていた。
インドネシア戦の両SBは安定したパフォーマンス
毎熊晟矢、中山雄太という両サイドバック(SB)の起用は日本のパフォーマンスの改善と向上をもたらした。この2人は、伊藤洋輝と今大会で何度も狙われていた菅原由勢よりも優れていた。
冨安健洋と町田浩樹も安定していたが、どちらも脅威にさらされるシーンはほとんどんなかった。日本のバックラインが試される大きな試練はこれから先で待っている。
久保と堂安には勤勉さと狡猾さがあった。上田は森保監督が細谷真大や浅野拓磨を起用した時には欠けていたフィジカルな存在感をチームにもたらしていた。
日本は全体的にパフォーマンスが向上してきた。グループを2位で通過し、次のラウンドで戦う相手が決まるのを待っているところだ。だが、相手がどこであれ、グループリーグのようにゴールを奪われ続けるようなら、森保監督とその選手たちはすぐにカタールを去ることになるだろう。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。