長友佑都と同じ道を歩む現役慶大生Jリーガー 評価急上昇中の若者をプロ入りへとかき立てたもの
プロ入りを固辞して大学に進学
武藤はその後、トップ昇格の誘いを固辞して慶大への進学を決める。家族や、親心を持つ周りの大人たちからの勧めもあったが、一番の理由はほかに存在した。「あのときは自分に自信が持てなかった。大学に進んでもっと強くなりたいと思った」と述懐する。それは、強気を貫いてきた男が、初めて見せる姿だった。
慶大では入学直後からポジションをつかんだ。河井(現・清水)をはじめ、後に5選手がプロへと進んだ上級生に混じっても、物おじすることなくプレーした。だが、その年の夏に左膝半月板を損傷してしまう。
半年を棒に振ったが、武藤はその期間を無駄にしなかった。「強くなるしかない」と上半身を中心に、体幹と腕回りを鍛え上げた。体重は2キロ増え、たくましくなってピッチへと帰還した。その後も怪我をするたびに、同じ道程を繰り返した。着実に一歩、また一歩とプロへの準備を整えていった。
2年生の夏にはFC東京から声が掛かり、そこから2年連続でJリーグ・JFA特別指定選手となった。大学3年の昨季は出場時間こそ短かったが、リーグ広島戦に途中出場してJ1デビューを飾った。
「去年の夏に1分だったけど、2万人を超える観客の前に立って、もっと見てほしいと思えるようになった」