「日本の選手はどこでプレーしてるんだ?」 自信満々だったイラク記者、その表情は一変【現地発】
アジア杯の対戦国イラクの記者、母国の実力に自信示すも…
カタール・ドーハの中心街にあるメインメディアセンターには各国の報道陣が集まっている。情報交換という腹の探り合いをしているので、お互いに対する態度は非常に慎重なケースが多い。
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そんななかでイラクのニュース配信会社「スポーツエージェンシー」のフセイン・アルフセイン記者は例外だ。「日本人か?」と聞いてきて、そうだと答えると「次の試合は3-0だ」と親指を立てて見せた。
果たしてフセイン記者の自信の根拠は何か。それは選手の経験だという。
「イラクはいろんな選手が海外でプレーしているんだ。アリ・アル=ハマディはイングランドのウインブルドン(3部)にいるし、ユセフ・アミンはドイツのブラウンシュヴァイク(2部)でプレーしている。フセイン・アリはオランダのヘーレンフェーンにいる。ほかにもカタールやイランでプレーしている選手もいるんだ」
ところで、とフセイン記者は続けた。「日本の選手はどこのチームでプレーしているんだ?」
そこで、遠藤航(リバプール)、冨安健洋(アーセナル)、南野拓実(ASモナコ)、伊東純也と中村敬斗(スタッド・ランス)、久保建英(レアル・ソシエダ)などと紹介していくと、それまでニコニコだったフセイン記者の表情が曇ってきた。どうやら日本選手の情報をほとんど持っていなかったようだ。
「日本の選手もほとんどはヨーロッパでプレーしているよ」と伝えると、フセイン記者はしばらく考え込んだ。そして「じゃあ次の試合は3-0ではなくて1-0でイラクだな」と、それでも自信を見せていた。
イラクがインドネシアを3-1で下したあと、フセイン記者を見かけて手を振ると、相手もこちらを認識したようだった。だが、そのままさっと消えてしまったのは、もしかしたら日本のことをいろいろ調べたからかもしれない。
現在のところ日本とイラクがグループ首位を争う構図になっている。イラクがグループリーグで最も難しい相手であることは間違いない。そしてその強さに加えて、とても自信満々で挑んできそうだ。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。