トルシエ監督の「練習を見てみたい」 森保J戦士も感服…“フラット3彷彿”戦術は「予想以上」【現地発】
日本代表は序盤から苦戦を強いられた
森保一監督率いる日本代表は1月14日、アジアカップのグループリーグ初戦でフィリップ・トルシエ監督が指揮を執るベトナムと対戦。前半に2失点を喫して、一時はベトナムに勝ち越しを許す展開となった。かつて日本代表を率いたトルシエ監督の采配に森保ジャパンの戦士たちも口を揃えて「予想以上」と驚嘆。デザインされたセットプレー、日本のウィークを突いた戦術に迫る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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トルシエ監督率いるベトナムは序盤から日本を驚かせた。開始10分間、2002年日韓ワールドカップ(W杯)で“代名詞”となったフラットスリーを思い起こさせる3-4-3システムで日本をハメさせず。前半11分にはMF南野拓実のゴールで先制を許すも、ここから9連勝中の森保ジャパンを追い込んだ。
前半16分、左コーナーキック(CK)からニアサイドでFWグエン・ディン・バックがフリーでうまく合わせてヘディングシュート。GK鈴木彩艶の頭をふわりと越えて、あっという間に同点に追い付いた。
ここでギアが入る日本に対しても焦らず、伸び伸びとプレー。カウンターを阻止されDF菅原由勢にイエローカードが提示されると、獲得したフリーキックのチャンスからゴール前に入れ、ファーサイドからのシュート。鈴木が弾いたところで押し込んで前半33分で2-1とリードを奪った。
最終的には4-2で終わったものの、試合を通して日本を苦しめ続けたトルシエ・ベトナム。デザインされたセットプレーでの得点は完璧で、中盤を狙いつつ攻撃へつなげていた。
MF遠藤航は「つないでくるというのは分析もあったけど、思っていた以上にトライしていた」と驚き、MF久保建英も感嘆した。
「今日の試合はトルシエ監督にやりたいことをやられた。相手の嫌がることをやって自分たちのペースで運ぶことをされた。この試合にかける意気込みもあったし、気持ちだけじゃなくて戦術もいいものがあった。ベンチで見ていて圧倒された。
ポゼッションがしっかりしていた。中に入ってくる時のワンタッチ目の置きどころが上手いから余裕をもって日本のプレッシャーに耐えられるし、失わないと思うからああいうプレーをできる。
見てみたいですね、どんな練習をしているのか。完成度が高い。万全の僕たちだったらどっちがポゼッションできるか分からないけど、アジアで1、2を争うポゼッション力があったと思う」
DF谷口彰悟も「正直、予想以上でした」と話し、MF中村敬斗も「最初の5分は本当に想像以上で驚いた」と、統制されたトルシエ采配に面を食らった。
ベトナムは前線から90分間を通してプレスし続け、日本のストロングであるサイドもしっかりケア。見事に分析された。
日本がW杯でドイツやスペインを倒したように、アジア杯では格上の森保ジャパンを倒そうと対策を練られる。“トルシエ采配”は客観的に見直すことができるいい機会にもなった。