破竹の勢いでJ2開幕連勝記録に並んだ湘南 別次元の強さを支える「湘南スタイル」とは
ポジションにとらわれない“ドルトムント”スタイル
曺監督は言う。
「ウチには1人で何でもできるようなスーパーな選手はいない。だから、センターバックの遠藤航にFWの仕事をしてもらわなければいけないこともあるし、CFのウェリントンにDFの仕事をしてもらうこともある」
ポジションにとらわれることなく、攻守にハードワークする姿は、かつて香川真司が所属していたブンデスリーガのドルトムントを思わせる。
湘南が目指すのは「J2で優勝するサッカー」ではなく、「J1で通用するサッカー」。そのため、大勝にもチームには浮かれたところは全くなく、むしろは「今日は悔しい気持ちしかない」(菊池大介)と反省の弁のほうが目立つほど。湘南のスタメン平均年齢は24歳。のびしろは十分過ぎるほどある。
これまでJリーグではJ2降格後、監督を代えずにチーム力をつけて、J1に復帰したケースがいくつかある。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でポゼッションサッカーのベースを作ったサンフレッチェ広島、ネルシーニョ監督によってJ1復帰1年目で優勝した柏。ちょっと気が早いかもしれないが、湘南は来季のJ1で旋風を巻き起こすかもしれない。
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北健一郎●文 text by Kenichiro Kita