初決勝で準優勝の近江、監督が称えた「かっこ良かった」戦いざま 選手に期待した「次の目指すべき場所」【高校選手権】

近江の前田高孝監督が選手たちを称えた【写真:徳原隆元】
近江の前田高孝監督が選手たちを称えた【写真:徳原隆元】

近江は青森山田に1-3で敗れるも、前田監督は選手たちを称賛

 第102回全国高校サッカー選手権は1月8日に国立競技場で決勝が行われ、初優勝を目指した近江(滋賀)は青森山田(青森)に1-3で敗れた。前田高孝監督は「かっこ良かったですよね、本当にかっこ良かった」と選手たちの戦いぶりを称えた。

 初優勝を目指した近江は2回戦からの登場で日大藤沢(神奈川)、3回戦でインターハイ王者の明秀日立(茨城)といった前評判の高いチームにPK戦で競り勝ち、準々決勝ではU-17日本代表やプロ内定選手も擁する神村学園(鹿児島)に4-3と点の取り合いを制すと、準決勝は地元東京の堀越(東京A)を破って決勝へ。滋賀県勢としては第84回大会で現清水エスパルスのMF乾貴士らを擁した野洲が優勝した時以来の頂点を目指した。

 しかし、前半から局面、局面で高い技術を見せつけるものの敵陣を攻略することができずに先制点を奪われ0-1の折り返しになった。そんなハーフタイムだが、前田監督は「ようやった、絶対逆転できるから」と声を掛けたと話す。選手交代もして、後半2分にはアタッキングサードでMF浅井晴孔が前を向いて1枚外すと、左ウイングバックから右に流れてきた主将のDF金山耀太へ縦パス。金山がゴール前にラストパスを入れると、相手DFがクリアできなかったボールを後半から出場のMF山本諒が押し込み同点に追いついた。

 それでも、試合巧者の青森山田には上手くゲームをコントロールされ、後半15分、後半25分と失点。指揮官は「青森山田はやっぱりロングスローとかロングボールが脅威ですが、あまり注目されていないかもしれないけど前の選手が上手い。青森山田は105メートル×68メートルの中で、その上手さを最短、最速で発揮する。こちらはコートを切ってコンパクトフィールドを作って起点を作りながらやり、後半は局地的に、局面で勝つことを意識してやった」と振り返った。

最後までチームのスタイルを貫いた選手たち【写真:徳原隆元】
最後までチームのスタイルを貫いた選手たち【写真:徳原隆元】

選手たちが「伸び伸び」プレーできるように尽力

「この2日間、青森山田のことばかり考えていた」という指揮官は、高校選手権での戦いについて記者会見で「最初はホープ軒(国立競技場近くの有名ラーメン店)食いたいくらいから歴史が止まっているんですよね(笑)。選手権は中1日で結構忙しくて、助けられたのはブラックサンダーとコーヒーとレッドブル。三種の神器で注入して。これ無敵なんすよ」と笑わせたが、何よりも選手たちへの思いを赤くした目で語った。

「僕らは(高円宮杯)プレミアリーグの参入戦で最後に負けて上がれなかった。その時に『近江の歴史を変えるぞ。最速で行ったらかっこええぞ』と言っていた。ただ、あまり力を出せなかった。その時に、申し訳なかった。今いる選手が歴史を背負う必要は全くなかった。今年の色を出すこと。僕が余分なものを背負わせてガチガチになったんじゃないかと。今大会はリラックスさせよう、ピッチで躍動してもらいたいと。伸び伸びしてもらいたい、変な重みなく彼らがサッカーに気合いを入れられる状況を作りたいと考えていた」

 だからこそ、この大会で選手たちが躍動する姿が嬉しかった。そして「かっこ良かったですよね、本当にかっこ良かった」と繰り返し、「彼らは優勝したかった。よくやった面も、あと一歩足りなかった面もある。ただ、次の目指すべき場所がある。3年生は次の場所で過去を振り返ることなく生きていってほしい」とエールを送っていた。

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