冨安健洋、アジア杯開催時期への発言は「そういう意図で言ったわけではない」 笑顔で語った日本代表へ参加の意義【現地発】
冨安はカタール現地で室内メニューをこなした
日本代表が1月6日に現地カタールでの練習をスタートするなか、冨安健洋(アーセナル)は室内メニューをこなしていた。一時外に出てきたものの、階段を使ったメニューが終わると再び室内に戻る。ほかの選手が次々に練習を終えるなかで、冨安だけは調整を続け、やっと最後に報道陣の前に姿を現した。
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心配されるコンディションについては「年末にアーセナルで復帰してから、こちらに来られたので、そこに関してはよかったかと思います」と、現地時間2023年12月31日のフルハム戦に出場したことを好材料だと語った。
冨安に関してはイングランドの一部メディアが1月にアジアカップが開催されることは選手にとって良くないと発言したことを報じていた。
本当はアジアカップに来たくなかったのではないか。そう聞かれた冨安は破顔一笑。歯を見せて笑いながら「間違いなくそういう意図で言ったわけではないのですよ。AFC(アジアサッカー連盟)の方だったり、そちらに対して僕は発信したつもりです」とにこやかに語った。
それから表情を引き締め「正直に言って、日本人選手とサッカーするのも楽しいので。刺激も受けますし、そういう意味では(日本代表に)来たくて来ています」と続けた。「同じ国で育ってきているので、分かり合えるところもありますし、また違った楽しさはありますね」と本音をさらけ出した。
冨安にとってアジアカップは2回目。前回となる2019年UAE(アラブ首長国連邦)大会の思い出を聞かれると、「初戦のトルクメニスタン戦はボランチで出場したというのと、日本代表のゴールは1点しか決めてなくて、それがアジアカップのサウジアラビア戦です」というアジアカップ初出場のゲームを挙げた。
そして「そういう意味では、5年間点を取っていないので、そろそろ取らなければいけないという思いがあります。そしてやはりカタールとの決勝で負けて終わっているので、アジアカップを取り返すというところは、もう1回チームで共有しないといけないですし、しっかり勝って、優勝して帰りたいと思います」と厳しい表情で語る。
25歳にして大ベテランの風格を漂わせる冨安は、日本代表の現状についての危機感も語った。
「今回、(U-19日本代表から)トレーニングパートナーも来ています。僕や堂安律(フライブルク)は19歳と20歳で日本代表に入って、久保建英(レアル・ソシエダ)もそのあたりの年齢(代表入りは17歳、初出場は18歳)で入っています。僕たちが東京五輪に出場したときは半分ぐらいがもうA代表行っていました。そういう意味ではちょっと物足りないと思っているので、そこは底上げが欲しいと思います」
そう言いながらもアジアカップに向けては強烈な意欲を見せる。
「ワールドカップが終わって、一段階日本代表全体のレベルは上がっていると思います。そういうなかで迎えるアジアカップではあるので、勝って当たり前という見方をされると思いますし、それを踏まえても圧倒して勝ちたいと思っています」
冨安は胸を張りながら自信のほどを語っていた。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。