青森山田に「勝つチャンスはある」 近江3年生MFは初優勝へ強気な姿勢「魅了する、沸かせることを目指している」【高校選手権】

決勝に進出の近江高校【写真:徳原隆元】
決勝に進出の近江高校【写真:徳原隆元】

MF山門は準決勝の堀越戦で1ゴール

 第102回全国高校サッカー選手権は1月6日に国立競技場で準決勝が行われ、第2試合では近江(滋賀)が地元東京A代表の堀越に前半のゴールラッシュで3-1の快勝。テクニカルで躍動感のある攻撃には魅力が詰まり、1得点したMF山門立侑は「見ている人を魅了する、沸かせることを目指している」と胸を張った。

 立ち上がりから3-4-2-1システムを採用した近江が堀越の守備ブロックとのミスマッチを生かして前進した。1トップのFW小山真尋、2シャドーの山門とMF浅井晴孔に加え右ウイングバックのMF鵜戸瑛士がゴール前に入り込む躍動感のある攻撃を展開した。

 そして前半11分、近江は山門が中央からドリブルで持ち上がると小山の動きをおとりにシュートを放ち、こぼれ球が鵜戸へ。鵜戸は至近距離からゴール上を狙い、クロスバーに当たって落ちたボールがゴールに吸い込まれ先制点になった。さらに2分後には波状攻撃からゴール前のこぼれ球を山門が押し込んで2点目。そして前半22分にもゴール前に攻め込み、堀越が必死のシュートブロックを重ねた中で最後はキャプテンのDF金山耀太が押し込み、3-0とリードを広げて前半を終えた。

 ボールを受ける選手がワンタッチ、ツータッチで回すだけでなく、相手を食いつかせて1つ、2つドリブルでズレを作り、その間に次の受け手が間に入り込む。鵜戸は「パスだけだとハマってしまうので、ドリブルを交えてトレーニングからやっている。監督からも相手を見てプレーしろと言われていて、そういう感じでみんなでプレーできたから3点取れたんじゃないかと思う」と話した。

 決勝の対戦相手は2大会ぶり4回目の優勝を狙う青森山田(青森)に決まった。今年は高円宮杯プレミアリーグのファイナルを制し、高校年代のチャンピオンになっている。それでも山門は「すごく強いけど、僕らも乗っているし勝つチャンスはあると思う。狭い局面や3人目の崩し、細かいところで受けてはたく面白い崩しを見せたい。そこには分があると思う。フィジカルは強いけど、予測や出足でカバーしたい」と決勝を見据えた。

 近江のプレーは最終ラインの選手も強気にボールをキープして、パスコースができるまでの時間を我慢するなど全体的に強気な選択が目立つ。技術的なベースが全体で高いうえで個性を生かし、準決勝の得点には絡まなかったが、左シャドーの浅井は準々決勝の神村学園(鹿児島)戦ではウイングバックとしてサイドを豪快に突破する場面を何度も作った。自身は「体力的な部分には自信がある」と話し、決勝では鵜戸と左右のウイングバックとして青森山田に間断なくサイドアタックを仕掛ける姿も期待される。

 山門は「見ている人を魅了する、沸かせることを目指している」と自分たちのスタイルについて話す。チャレンジャーとして戦えることは精神的に分があると言えるかもしれない。そのうえで、18大会前に「セクシーフットボール」として話題を呼んだ野洲以来の滋賀県勢が望む決勝戦で、それを越える衝撃と魅力をピッチ上で表現できるか。勢いに乗る近江が初のベスト4を超えて初優勝まで駆け上がるか注目される。

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