「焦りを感じていた」 神村学園の“J内定”FW、8強敗退で悔やんだ判断の誤り「自分が消せていれば…」【高校選手権】
神村学園の主将FW西丸はゴールも準決勝へ一歩届かず
第102回全国高校サッカー選手権は1月4日に準々決勝が行われ、浦和駒場スタジアムの第2試合で神村学園(鹿児島)は近江(滋賀)との点の取り合いに3-4で敗れた。卒業後のベガルタ仙台入りが内定している主将のFW西丸道人は大会初ゴールを決めたものの、押し込まれた後半のプレー判断を悔やんでいた。
序盤から神村学園が攻撃回数を増やしたが前半12分に不用意な失点を喫した。しかし前半18分、右サイドからDF有馬康汰が速いクロスを入れると西丸がマークを外して入り込みヘディングシュートで同点弾。これが今大会の初ゴールになった。
神村学園はU-17日本代表で卒業後にベルギー1部ゲンクに加入するDF吉永夢希が、前半22分にサイドチェンジのボールを受けるとペナルティーエリア内深くまで切り込み、ほとんど角度のないところから狙ったシュートがGKの意表を突きゴールに吸い込まれ2-1と逆転に成功した。後半は一気に近江の攻勢を受けた。防戦一方になり同点ゴールを許したが、直後にU-17日本代表MF名和田我空が直接フリーキックで同点ゴール。プロ内定の西丸とU-17代表の2人がゴールを奪ったが、試合の流れを取り戻せずに押し込まれて逆転負けを喫した。
西丸は「動き直したところにいいボールが来た」と話すが、それ以上に「ゴールに対する焦りを感じていた」のだという。前回大会は高校年代のスーパースターで卒業後にドイツへ渡ったFW福田師王が不動のセンターフォワードとして構え、2年生の西丸が献身的に周囲を動くセカンドトップとしてチームを機能させた。セレッソ大阪に加入したMF大迫塁や福田は口をそろえて西丸の貢献度を話していた。そこから今季は、自身がストライカーとしてゴールを量産しなければいけない立場になった。さらに、仙台行きの内定も今大会でプレッシャーになったのは事実だろう。それらを抱えたなかでの一撃で勢いに乗るかとも思われた。
一方で、風下に立って押し込まれた後半、4-4-2の神村学園と噛み合わない3-5-2の近江に対し、さまざまなところでのミスマッチを生かされてしまった。前残りする場面の多かった西丸は「前半にフィジカルで抑え込めていたので、パスが来ればいけるんじゃないか」という意図だったと話したが、完全に押し込まれてしまった風下ではパスが届かない。それだけに「もう少し自分がアンカーを消せていれば。その判断を間違えてしまった」と、悔やんでいた。
前回大会は国立競技場で行われた準決勝でPK戦の末に敗れて決勝の切符を手に入れられなかった。それ以上を期待されつつ、偉大な先輩がいるプレッシャーもあった。そんな1年間を終え、西丸はプロの世界へ旅立つ。それを見据え、「悔いが残らないようなプロ生活にしていきたい」と話している。
福田の周囲を動き、セカンドトップとしてチームを機能させながら機を見てゴール前に入り込んでいった前回大会のような立ち位置が最も良さを出す選手かもしれない。プロの舞台で、その献身性に加えてゴール前の得点感覚を磨いていけば活躍の可能性を十分に感じさせる選手だ。