「東福岡撃破が目標だった」青森山田監督、王者の敗退に「ロングスローのような武器を持つべき」

東福岡の敗退に覗かせた複雑な心境

「東福岡も、もう一つ、武器があった方が良かったということだと思うし、ロングスローだってやってないでしょ? そういう武器を持ったりだとか、あれだけボールをつなげるんだから、堅守速攻の引き出しも作ったりだとか、あともう一つ何かあれば、東海大仰星はたぶん、何もできなかったんじゃないかなと思う。あくまで、結果論ですけどね」

 東福岡は、サイド攻撃を最大の武器としており、もはやそれが伝統の域にまで達している。東福岡と言えばサイド攻撃――。その一貫性で昨季も王者に輝いた一方で、対戦相手がそのサイド攻撃に万全の対策を施してきた時、それにより試合が膠着状態となった際に、状況を打開するための“プランB”が不足していたのではないかと持論を述べた。

 今大会のトーナメントの組み合わせが決定した際、大方の予想では、準決勝で東福岡と青森山田が対戦することになる、そして、その試合が今年の事実上の決勝戦、という見解が根強かった。黒田監督自身、今大会の最大の山場に東福岡との準決勝を見据えてきた。だが、その対戦は実現しなかった。

「東福岡はプレミアリーグのWESTの3、4位で高体連のトップであるし、日本一になるためには東福岡は避けて通れないと。ここにきっちり勝ち切って、真の日本一になりたいというのが我々の目標でもあった。それが叶えられなくなった今は……逆に準決勝という、去年涙を呑んだ舞台で、相手は違うがリベンジをしよう、先輩たちを超えようという目標に方向を向けて、浸透させようと思う」

 青森山田は準決勝という舞台に駒を進め、いよいよ悲願の初優勝が手の届くところまでやってきた。しかし、王者・東福岡を倒して日本一、というチームの目標が予想外な形で失われた今、チームのモチベーションのベクトルを軌道修正する必要性があるのかもしれない。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

 

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング