初の8強進出で歴史を作った正智深谷 「思った以上にやれた」なかで青森山田との間に存在した差

「倒すチャンスはあったが…」

 後半8分、同点にする絶好機が巡ってくる。DF金子悠野がヘッドで前方に送ったボールを、MF谷口瑛也が豪胆に運んでシュート。決定打と思われたが、FC東京への加入が内定している青森山田のGK廣末陸に足で止められ、こぼれ球をFW玉城裕大が打ったが、決められなかった。

 この一撃にしても、少ない好機を確実に沈める青森山田との差だ。

 谷口は関東第一との2回戦で一発退場し、3回戦は出場停止だった。「ほぼ2試合も休んでいたので、みんなの分まで走り切ろうと思った。ファーポストが空いていたので狙ったが、気がついたら消されていた。(GKの)レベルの高さを感じました」と脱帽した。

 しかしイレブンは0-3になってもゴールに向かっていった。そんな闘争心の発露が、意地の1点というご褒美になる。3試合目にして青森山田の無失点記録を砕いた。後半33分に右CKを短くつなぎ、小山のクロスをDF田村恭志が頭で決めた。

 反撃もここまでだったが、圧倒的不利との予想を覆すには十分な健闘と言えた。敗軍の将は「倒すチャンスはあった。相手を苦しめた。思った以上にやれた。もうひと息だった」と大いに残念がった後、「歴史を作ってくれた」と初のベスト8進出を果たした選手を褒めた。

 しかし2年生の西澤が「相手は強かった。うちはまだまだ力が足りない」と力の差を痛感したように、小島監督も「強いチームは点を取られないし、取るべき場面で取る。敗因はその差だと思う」と述べた。

 4試合でいい経験をした。2年生が多いだけに新チームも楽しみだ。

【了】

河野 正●文 text by Tadashi Kawano

 

 

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