「最後にお詫びします」 森保監督が切り出した謝罪…異例の“モヤモヤ会見”を紐解く【コラム】
アジア杯に向けたメンバー発表会見で森保監督が「許して」
森保一監督率いる日本代表は1月1日、今月12日に開幕するアジアカップに向けたメンバー26人を発表した。昨年11月シリーズで追加招集となったMF佐野海舟やFW細谷真大が選出され、常連のMF鎌田大地、MF田中碧、FW古橋亨梧らが選外に。2011年以来3大会ぶりの優勝を狙うなか、メンバー発表会見での指揮官の言葉を分析する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
◇ ◇ ◇
「最後にお詫びします。みなさんにはモヤモヤとするような答え方しかできないこともありましたけど、許していただければと思います。ご了承ください」
異例だった。会見の最後で自ら付け加えた森保監督。この日の会見では、直前のタイ戦で先発出場した田中がまさかのメンバー外となり、カタール・ワールドカップ(W杯)でも中心だった鎌田、FW古橋亨梧らが外れた。このことについて問われた指揮官はこう答えた。
「1人1人のこと招集していない選手のことはこの場での話は避けさせていただきたい。招集できる条件の中でベストということでこのグループを作っている。詳しくは話せないが、選手も置かれている状況が違うので、グループの中でも招集していない選手はほかにもいる。チーム編成をするにあたって色々な状況の中でベストと判断した」
招集外となった選手たちについては多くを語らなかった。これは今冬の移籍を検討している可能性があり、森保監督が話せることはなかったと考えられる。さらに直前のミーティングで事前の想定からどれぐらい変わったか問われると、同じように煙に巻いた。
「答えなくてもいいですか? ただ、海外組の選手は2週間前にレターを出さなければいけないとご存知だと思うので、質問されるまでもなくベースはあると思います。大体の選手が決まっている中で数人の選手は招集するかしないかでクラブを待たせていた部分もあるので、最後にスタッフミーティングで今日の試合を終えてどうするか話して最終決定をした」
ここでも具体的な数字を示すことはなかった。そして冒頭の「お詫び」につながる。
これまで第1次政権ではこのように森保監督があまり多くを語らない、ということはよくあった。だが、第2次政権になってから指揮官からの「伝える」意識が高まっていると感じていた。具体例や個人名など分かりやすく伝える場面も増え、ハッキリ示す会見の印象が強くなっていた。
森保監督の経験も積んだのだろう。5年前初めてのアジア杯から、今回で変わっている点を自身で分析していた。
「私自身、根幹は変わっていないが、チームマネージメントの部分で変わっている部分もあると思う。選手に対する1試合1試合のアプローチ、我々のコンセプトをより発揮できるようにという落とし込みと、対戦相手の情報からの傾向と対策の部分からのアプローチは色々な経験をさせてもらった中で、選手への伝え方は私だけでなくスタッフ全体でクオリティーが上がっていると思う」
選手との絆も深まり、信頼も高まっている。試合の前、出場しない選手に対しての声掛けを増やしてケアをしたり、初招集の選手に自ら指導したりとコミュニケーションを強化。チーム外に対しても同じだった。だからこそ、冒頭のような言葉になり、自ら切り出したのだろう。アジア杯ではどのような言葉で周囲を奮い立たせるのか。言動に注目していきたい。