静岡学園の厳しさを「軽く考えていた」 来季J内定GKが本音、名門での3年間経て見据える未来【高校選手権】

東京ヴェルディ入り内定の中村圭佑【写真:徳原隆元】
東京ヴェルディ入り内定の中村圭佑【写真:徳原隆元】

東京ヴェルディ入り内定のGK中村圭佑が語った静岡学園での3年間

 第102回全国高校サッカー選手権は12月31日に首都圏8会場で2回戦が行われ、浦和駒場スタジアムの第2試合で静岡学園(静岡)はPK戦の末に広島国際学院(広島)に敗れて姿を消した。主将のGK中村圭佑はこの3年間を「サッカーへの思いが強くなった」と話した。

 2年ぶり14回目の出場となった静岡学園は、両校優勝1回を含む2回の優勝経験を持つ。中村が東京ヴェルディ、MF高田優が徳島ヴォルティス、FW神田奏真が川崎フロンターレに内定と注目を集め、29日の1回戦は明徳義塾(高知)に6-0で大勝していた。

 前半からパスワークを武器にボールを保持して押し込んでいった静岡学園だが、最後のところでやらせてもらえない広島国際学院の守備に手を焼いた。前半17分には相手FW野見明輝がセットプレーのこぼれ球に反応。至近距離からシュートを放つ決定機を迎えたが、中村がファインセーブで救った。後半9分にカウンターから失点したが、6分後には同点ゴール。そこからは静岡学園がボールを持ちながら点を奪えない時間が続いた。

 そうしたなかで後半アディショナルタイム、相手が最終ライン背後に出したボールに抜け出されて絶体絶命のピンチに。当初は前に出てシュートの前にカットすることを狙った中村は足を滑らせてしまい、意図しない形で待ち構えることになった。それでも「そこで慌てることなく対応できたのが良かった」と、冷静に立て直すとシュートブロックに成功。良い流れでPK戦に入った。

 しかし、中村は相手の3人目をストップしたものの、PK戦のスコア3-4で敗れた。「悔しいです。あと2本くらい止められる実力が自分にあれば、負けさせないで済んだ」と無念の表情だった。

 中村は「高校に入る前は少し軽く考えていたけど、入ってみての強さ、厳しさを味わった。サッカーへの思いが強くなった。この仲間と過ごした3年間は、張り合いのあるものだった」と話す。次なる舞台は来季のJ1昇格を決めた緑の名門でのプレーになるが、「日本のトップレベルでチャンスを掴めればプレーできる。ワクワクしている」と先を見据えた。

 PK戦の1本目を失敗したのは高田だった。負傷明けでコンディションが不十分ながら出場していたエースの神田は決定機でシュートをミスしてしまった。結果的にはプロ内定の3人が悔しい場面を迎える試合になった。川口修監督は「こういう悔しさを経験として成長できれば、これを味わったことが生きてくる。次のステージで頑張ってほしい」とエールを送る。プロ内定選手として注目を浴びる大舞台は無念の2回戦敗退となってしまったが、度胸十分のプレーを見せた中村には次のステージで活躍する姿が期待される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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