青森山田、苦しみながらも掴んだ勝利 前年の経験が生きたPK戦を守護神が回顧「あの大舞台で…」【高校選手権】
飯塚(福岡)と対戦しPK戦で勝利
青森山田(青森)がPK戦で勝ち上がりを決めた。2回戦から登場の青森山田は12月31日の第102回全国高校サッカー選手権の初戦で飯塚(福岡)と対戦。後半24分に飯塚の原翔聖に先制点を奪われるが、青森山田はセンターバック(CB)の小泉佳絃を前線に上げて攻撃の圧を高め、同34分の米谷壮史の同点ゴールにつなげている。
捨て身のスクランブル攻撃にも思えるが、今季青森山田は高円宮杯プレミアリーグEASTや、広島ユースとの高円宮杯U-18プレミアリーグ2023ファイナルといった試合でも先手を取られており、そうした苦境での経験を踏まえての攻撃参加だったと小泉は話す。
「プレミアファイナルも負けた状態から、自分が前線に上がってやるというのをやっていたので。そうですね、自分を信じてやってきた結果が、今日勝てたということになると思うので。ファイナルがつながっていると思います」
その小泉は「リードされることも想定内というか、許容範囲というのはすごく自分も思ってて」とのことで、焦りはなかったとのこと。当然「リードされないことが一番ですけど」と小泉は話すが「それでも焦らずに自分たちの攻撃を信じてやるだけだったので。それが勝利につながっていると思います」と述べている。
また「負けている状況で自分が前に行くというのは、プレミアの試合でもやっていたので。チームを信じて、仲間を信じて、自分も信じて、しっかりと点に絡むというか、攻撃の圧力を上げられたというのはすごく良かったと思うので」とも述べている。
試合は1-1の同点のままPK戦へ。青森山田のGK鈴木将永が飯塚の2人目、溝口敢大のPKを止める一方、青森山田は5人全員が決めて勝ち上がりを決めた。
このPK戦勝利の背景について小泉は「PKはもう毎回の練習後に全員がやってたので。しかも、みんなすごく決めれてたので。キーパーもショウエイ(鈴木将永)で止めれるキーパーが相手でもみんな決めてたので。そこはみんな自信があったと思います」と勝利の背景を説明している。
一方、青森山田を勝利へと導いたGK鈴木は「もちろんPK戦はやっぱり自分のなかでも練習もしてきて、その感覚も研ぎ澄ましてきたので。そこはやっぱり本当に自信はありましたし、いつも通りやれば絶対止められるというふうに思っていたので。そこは特に問題なくやれたかなと思います」としており「自分が蹴られると思った方に飛んだだけなので。そこは、自分を信じて飛ぶだけでした」という。
なお、鈴木は控えGKとして戦った前回大会でもPK戦を経験。3回戦の国見戦において1-1で迎えた後半アディショナルタイム2分に交代出場しこのPK戦を制している。このときの経験が自信につながったと次のように述べている。
「あの大舞台で去年(国見戦で)、PKを止められたということで、さらに自分の自信にもつながりましたし、そこは本当に自信を持って自分もやれているので。それはこのまま継続してやっていきたいかなと思います」
苦しみながらではあったが青森山田が大会初戦を突破した。
江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。