生きた修羅場をくぐってきた経験 PK戦で辛勝の青森山田、正木監督は前向き「勝ち切れたことは次につながる」【高校選手権】
青森山田は飯塚にPK戦の末に勝利
第102回全国高校サッカー選手権は12月31日に首都圏8会場で2回戦を行い、浦和駒場スタジアムの第1試合では優勝経験校の青森山田(青森)が飯塚(福岡)と対戦し、PK戦の末に3回戦への進出を決めた。青森山田の正木昌宣監督は、「この雰囲気の中で勝ち切れたことは次につながる」と前向きに話した。
27年連続29回目の出場になった青森山田は、今シーズンの高円宮杯プレミアリーグEASTを制し、サンフレッチェ広島ユースとのファイナルも制して頂点に立った。その勢いに乗って選手権制覇を目指す大会初戦。青森山田は攻撃回数こそ多いものの、ゴール前に入り込む決定機は作れずに時間が進んだ。
正木監督は「少し攻め急ぐところがあって、冷静にとはいってもこの雰囲気の中だったので」と、大舞台の初戦ならではの難しさがあったことを話す。そのうえ、後半24分にミスも絡んで失点。「相手のタフなサッカーになかなか崩せず、ミスで失点。非常に難しい試合になった」と、指揮官が話したとおりの展開になった。
それでも、正木監督が「1年間、こういう試合をものにしてきた。できるだけビハインドにならずに勝ち切れるようにしたいけれども、こうなっても切れることなくゴールを目指すことができた」と話したような修羅場をくぐってきた経験が生きた。
そして、後半34分に右サイドからのクロスにFW米谷壮史がヘディングで合わせ意地の同点ゴールを奪った。PK戦ではGK鈴木将永が2人目をセーブ。キックは5人が全員成功させ、PK戦のスコア5-3で苦しみながら大会初戦の2回戦を突破した。指揮官は「PK戦も練習してきた。その通りのものが出せて良かった」と安堵の表情だった。
昨年まで率いた黒田剛氏は、FC町田ゼルビアの監督に就任して学校を離れた。前回の高校選手権も黒田氏は総監督となり正木監督が指揮を執ったが、今年度は完全に黒田氏が離れての大会になる。厳しい初戦になったが、「この雰囲気の中で勝ち切れたことは次につながる。これで慣れたと思う。冷静にやるべきことを整理して、ストロングポイントを出せるように準備したい」と話した。
伝統のロングスロー戦術も健在で、年明けの1月2日には3回戦を迎える。4回目の全国制覇を目指し、厳しい初戦を突破した青森山田が本領を発揮するか注目される。