Jクラブから声も…大学進学へ 市船エースに完敗で涙の決意「プロの舞台に立てるよう頑張る」【高校選手権】

高川学園は優勝候補・市立船橋に1-4で敗戦(写真はイメージです)【写真:小林 靖】
高川学園は優勝候補・市立船橋に1-4で敗戦(写真はイメージです)【写真:小林 靖】

高川学園FW山本吟侍、最後の選手権で完敗し悔しさと感謝の思い吐露

 今大会注目の3年生ストライカー・高川学園FW山本吟侍の高校最後の選手権は、1回戦で幕を閉じた。優勝候補・市立船橋との一戦で1-4の敗戦。文字どおり完敗だった。

「2年前にあの景色を見ることができたのは、僕の中で大きなターニングポイントだったので、後輩たちにその景色を見せてあげたかった」

 試合後、涙を浮かべながら話した山本は1年生の時から試合に出場し、2年前の第100回大会においてベスト4進出を経験した。2回戦の岡山学芸館戦でスタメンを飾り、3回戦、準々決勝では出番はなかったが、準決勝の青森山田戦では後半途中出場をして国立競技場のピッチを踏んだ。

「国立のピッチは本当に気持ちよかった。短い時間でもあれを経験できたことで自信になりましたし、もっと上のステージでプレーをしたいと強く思うようになった。自分の中で多くのものを変えてくれたんです」

 昨年からチームの絶対的なエースとして君臨。早生まれでもある山本はU-16日本代表候補に選出され、今年はU-17日本代表候補だった。U-17ワールドカップには出場できなかったが、Jクラブからも声がかかる存在になった。将来のことも考えて関西の強豪大学への進学を決意。この世代屈指のストライカーとして今大会でも注目必至の存在だった。

 初戦の相手は名門・市立船橋。同じ10番を背負いJ2の清水エスパルス入り内定FW郡司璃来は同年代のライバルで、「ストライカー対決」として注目を集めたが、躍動したのは郡司のほうだった。

 郡司は開始早々の前半6分に先制点を鮮やかなゴールで挙げ、同10分にもPKから追加点。山本もここからギアを上げて、前線に張り出して正確なポストプレーに加え、ボランチの位置まで落ちてからボールを受けてドリブルで運んだり、サイドを突破したりと迫力ある前への推進力を見せた。

 前半26分にはカウンターから左サイドをドリブルし、最後は右アウトサイドで正確なクロスを送り込んだ。山本のプレーを軸に完全に攻撃のリズムを掴んだ高川学園は、同35分に左コーナーキックから1点を返すが、後半立ち上がり早々に失点を喫すると、流れは再び市立船橋へ。後半21分、郡司にハットトリックを許し、万事休した。

「今日の敗戦は自分の責任です。郡司選手はこの大舞台でハットトリックをしてチームを勝利に導いて、僕はノーゴール。高川学園中学、高校で頑張ってきた6年間は本当に僕にとって大きな財産になりました、3年間ずっと選手権に出られたことは本当にありがたいことだと思っているからこそ、自分が勝たせるプレーをしてもっと上の景色に行きたかった」

 試合もストライカー対決でも完敗をし、今大会を見れば完全に不完全燃焼だが、来季はプリンスリーグ中国に昇格させるなど、高川学園のエースストライカーとしてチームを力強く牽引してきたことは間違いない。

「選手権は夢の舞台でした。次は大学で全国優勝をして、プロの夢の舞台に立てるように頑張っていきたいと思います」

 高校屈指のストライカーから大学屈指のストライカーを経由して羽ばたくために。山本は大きな野心を持って次なるステージに進んでいく。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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