帝京大可児、信念貫くポゼッションサッカーで逆転勝ち 指揮官「ただ勝つだけじゃない」と胸張る【高校選手権】

帝京大可児が逆転勝利で2回戦に進出(写真はイメージです)【写真:中戸川知世】
帝京大可児が逆転勝利で2回戦に進出(写真はイメージです)【写真:中戸川知世】

柳ヶ浦(大分)に先制許すも、後半に入り一気に逆転

 第102回全国高校サッカー選手権は12月29日に首都圏8会場で1回戦の試合を行い、浦和駒場スタジアムの第2試合では帝京大可児(岐阜)が柳ヶ浦(大分)に2-1で逆転勝ちした。ボールを持たされる展開にも、自分たちのサッカーを貫く姿があった。

 5年連続10回目の出場の帝京大可児が立ち上がりからボールを持って攻め上がる形を作り、柳ヶ浦は2トップを前に残して守備を固めて奪ったあとはロングボールでの逆襲を狙う。その柳ヶ浦の狙いが生きる形が何度かあり、前半27分には柳ヶ浦がコーナーキックから粘ってつなぐとゴール前のこぼれ球をDF中川喜之輔がシュートを放ち先制点になった。

 帝京大可児の仲井正剛監督は「(攻める時に)3枚残す対策も取ったんですが、失点すると苦しくなると思っていた。(柳ヶ浦を)映像では1試合見ましたが、想像以上に2トップにボールが収まって苦しい。攻めているけど相手に決定機が多い」という展開に陥ったことを振り返った。一方で「この全国大会に向けて守備にも取り組んだんですが、1点に抑えたとポジティブに捉えて。点は取れるだろうと思っていた」と、攻撃力への自信は失わなかった。

 キャプテンのMF吉兼伶真によると、後半に向けて「ワンタッチでのパスを狙ってかえって引っ掛かっていたので、止めて出したほうが回る。距離感が前半は悪かったので、少し近くプレーするようにした」という微調整もあったという。その結果、前半以上に押し込んでカウンターを受ける機会が減った。そして、後半9分にはゴール前の狭いスペースをショートパスと巧みなワンタッチコントロールでFW加藤隆成が割り、そのまま左足シュートで同点ゴール。さらに後半21分にはMF松井空音が右足で狭いコースにコントロールされたシュートを決め2-1と一気に逆転に成功した。

 仲井監督は5年連続出場していることの効果を「帝京大可児のサッカーを全国大会で披露して、そのサッカーに憧れて入ってきてくれた子たち。だから、ただ勝つだけじゃなくてこのサッカーで勝つ。何年も続けてきたことの積み重ねで、今日は勝てた」と胸を張った。

 前回大会は1回戦で岡山学芸館(岡山)に0-1で敗れての敗退だった。すると、その相手は最終的に全国制覇まで駆け上がった。その悔しさもまた大きなバネになったのだろう。2回戦の相手は佐賀東(佐賀)に決まったが、仲井監督は「相手がこうだから、こうしよう、とはしない。情報を持ちながらも、自分たちのサッカーをする」と話す。ポゼッションで押し込んでいく自分たちのスタイルでどこまで行けるか。ある意味ではサッカーにおける典型的な負けパターンに陥りかけた初戦を突破したことで、チームは大きな自信が得られたのかもしれない。

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