早実エースFW、2つの決定機逸に“シンプルな差”痛感 「決められる選手は決める」【高校選手権】

久米遥太が自身のチャンスシーンを振り返った【写真:徳原隆元】
久米遥太が自身のチャンスシーンを振り返った【写真:徳原隆元】

国立競技場で行われた選手権開幕戦で、広島国際学院に0-2敗戦

 第102回全国高校サッカー選手権の開幕戦が12月28日、国立競技場で行われ、早稲田実(東京B)は広島国際学院(広島)を相手に0-2で敗戦。試合開始直後、FW久米遥太が際どいシュートを放つなど決定機を手にしながら、初戦で姿を消す形となった。

 試合後、早稲田実の久米は沈みがちなトーンではあるが、丁寧に取材に答えてくれた。

「簡単な話、あそこで決めてれいれば勝てた試合だったので。そこのシンプルな差かなと。相手はチャンスの数で言うと大差ないと思うので。そこの差だと思います。

 ファーストチャンスだったので、躊躇せずシュートで終わることを意識したんですけど。あそこで決められるか決められないかだけだったと思う。決められなかったというだけだと思います」

 悔しさを噛み殺しつつ取材に応じ続けた久米には前半4分にも決定機が訪れていたが、これも決め切れず。早稲田実としては初めての選手権であり、大会の開幕戦だったということで緊張があったのかもしれない。そんな質問に対し久米は「緊張していても決められる選手は決められると思うので。そうならないといけないと思います」と冷静だった。

 早稲田実は、序盤に攻勢に出たものの徐々に落ち着きを取り戻した広島国際学院に前半28分、スローインをきっかけに先制点を許すと、後半12分にはロングスローから2失点目。競り合いに抜群の強さを示す広島国際学院MF長谷川蒼矢の高さを抑え切れなかった。

 そんな2失点に悔しさを滲ませた久米だったが、早稲田実としては初めての全国大会。母校の歴史を塗り替えた意味で大仕事ではないかと問われると、またも冷静な口調で悔しさを覗かせた。

「全国に行った時点で、そういう新しい一歩を踏み出したのは間違いないと思うんですけど、全国に出たという一歩なのか、勝ち進んで、もっと全国に轟かしたっていう一歩なのかでは大きな違いだったと思うのでそこができなかったのは悔しいです」

 試合後、後輩たちに「3年生の力不足で勝てなかったということで、1、2年生には申し訳なかった」詫びた久米。「来年、より苦しいシーズンになると思うんですけど、そこは今日経験した舞台をマイナスじゃなくてプラスにして、これを基準にやってもらいたい。じゃないと早実として初めて出たのも意味ないと思う。出て終わりじゃなくて、勝てなかったですけど、それを来年、そこを基準にやって行ってほしいなと思います」とエールを送った。

 久米自身は来年、早稲田大学へ進学。大学でもサッカーは続けていくという。

「どこのポジションで使われるか分かんないですけど、やっぱり決定的な仕事ができないとレベルの高いところでは使われない。ウィークポイントが多いなと感じたのでそこをしっかり埋めたい。もっともっと、ここで良い景色を見れなかった分、もっとサッカー人生でいい景色を見れるようにやっていきたいなと思います」

 そんな久米は取材希望者が途切れるまでミックスゾーンで対応し続けていた。悔しいはずの試合後であるにも関わらず立派な姿勢だった。

(江藤高志 / Takashi Eto)



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江藤高志

えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。

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