「日本代表のユニフォームを着たい」 元“U-21ドイツ代表10番”アペルカンプ真大に本音直撃…あふれる思いと夢【インタビュー】

デュッセルドルフでプレーするアペルカンプ真大【写真:Getty Images】
デュッセルドルフでプレーするアペルカンプ真大【写真:Getty Images】

「日本代表への傾向が高い」と地元紙に語っていたアペルカンプ真大の真意とは?

 ドイツのブンデスリーガ2部フォルトゥナ・デュッセルドルフでプレーする23歳MFアペルカンプ真大は、地元紙に対して「日本代表のユニフォームを着たいという思いは間違いなくあります」と語った。日本代表への思いは本当なのか。本人に直接話を聞いた。(取材・文=中野吉之伴/全5回の1回目)

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 ドイツ2部デュッセルドルフで日本代表MF田中碧やU-23日本代表DF内野貴史と共闘するMFアペルカンプ真大は、昨季リーグ戦33試合に出場し、6ゴール10アシストをマーク。2部リーグ全体で15位、チーム内2位の好成績を残した。今季は負傷離脱した時期もあったが、第17節終了時点で15試合に出場し、1ゴール7アシスト(アシストはリーグ4位タイ)の活躍を見せている。

 チームの主軸として、ファンや首脳陣からの期待を集めているアペルカンプが地元紙のインタビューに対して、日本代表への思いを口にしたことがある。

 記事では「(ドイツ代表か日本代表か)どちらかを決めたわけではないけど」と前置きをしたうえで、「どちらかと言えば日本代表への傾向が高いかなと思います。日本代表のユニフォームを着たいという思いは間違いなくあります」と話していた。

 一方、U-21ドイツ代表として10番を背負ったこともあり、ドイツ代表の可能性について言及した地元紙の記事もある。A代表での出場歴はまだないため、日本代表かドイツ代表、現時点ではどちらも選択できる状況にある。本人はどんな思いを持っているのだろうか。

 デュッセルドルフの練習場脇にある会議室でインタビューの機会を得た。日本代表への思いは「本当」なのか。直接話を聞いてみた。

「そうですね。いや、何かすごいきっかけがあったというわけではないんです。でも例えばカタール・ワールドカップ(W杯)では日本代表がすごくいいプレーをしていたし、女子W杯の日本を見ても、特にグループステージの3試合は本当に素晴らしい試合をしていたと思います。普通に強いですよね。世界的にリスペクトもされていると思うんです。(代表招集に関しては)そもそも僕がどうこうよりも、『もし招集の電話が来たらそうしたい』って感じですね。もちろん僕のパフォーマンス次第というのは分かっています。僕がもっともっと活躍したら、僕をもっともっと知ってもらえて、そうしたらもしかしたら代表招集にもつながるかもしれない。いつかそこに入ることができたら。本当に大きな夢が叶いますね」

W杯で日本がドイツ撃破、喜びすぎて「コーチを怒らせてしまいました(苦笑)」

 W杯の話が出たなか、当時の心境についても尋ねた。筆者自身20年以上ドイツで暮らすなか、普段であればドイツを応援する気持ちがある。カタールW杯での“直接対決”の前にはいろいろな思いが胸の中に浮かび上がってきたものだ。ドイツ人の父、日本人の母を持つアペルカンプにとっては、さらに深いところでさまざまな感情が湧き上がっていたのではないかと思っていた。

「日本を応援してましたね。碧くん(田中碧/デュッセルドルフのチームメイト)が日本代表として出ていたというのもあるし。もう、心から日本代表を応援しました」

 ドイツ戦はチームみんなでテレビ観戦していたという。世界を震撼させたFW浅野拓磨(ボーフム)の一撃が生まれた瞬間、アペルカンプは大喜びした。

「いやもう、盛り上がりましたね。ちょっと大げさに喜びすぎたのもあって、コーチとかを怒らせてしまいましたけど(苦笑)。本当に嬉しかったですね」

 いつかは代表で。サッカーをする選手なら誰もが夢見ることだ。そしてそのためには自身のさらなる成長が必要なのはよく分かっている。U-19からU-23を経て、デュッセルドルフでトップチームデビューを飾ったのが2020年。そして契約延長を勝ち取り、今季がプロ4シーズン目となる。いつまでも「期待の新人」のままではいられない。ここからの成長に必要なことはなんだろうか。

「1つはコンスタントにプレーすること。そしてたくさん試合でアクションに絡んで、結果につながるいいプレーがしたいですね。あとは怪我なくできることも、かなり大事なポイントだと思います」

 ドイツ2部第17節終了時で首位と勝ち点差5の4位につけているデュッセルドルフ。5シーズンぶりとなる1部復帰(※2位まで1部自動昇格。3位は1部16位と入れ替え戦)を果たすためにはアペルカンプの活躍が不可欠。1部昇格へチームを導くことができれば、選手としてさらなる飛躍の扉を開くことができるはずだ。

[プロフィール]
アペルカンプ真大(アペルカンプ・シンタ)/2000年11月1日生まれ、東京都出身。ドイツ人の父、日本人の母の間に生まれ、ヴィトーリア目黒FCや三菱養和SC巣鴨ジュニアユースでプレー。15年にデュッセルドルフの下部組織に加入し、19年にプロ契約。21年にU-21ドイツ代表に選出されて10番も背負った。将来、ドイツ代表か日本代表のどちらを選択するか注目される逸材。23-24シーズンもコンスタントに出場し、デュッセルドルフのトップチームで4シーズン目を戦う。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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