闘莉王、なぜ三笘と久保を称賛? 「『日本代表を引っ張っていくのは俺だ!』という感じ」「良い意味で…」【独占インタビュー】

闘莉王氏が久保建英と三笘薫を高く評価【写真:荒川祐史】
闘莉王氏が久保建英と三笘薫を高く評価【写真:荒川祐史】

2列目は伊東純也、久保建英、三笘薫が「最適」 今の日本代表の強みは両サイド

 元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が約1年ぶりに来日し、「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じた。現時点で日本代表の2列目最適解は、MF伊東純也(スタッド・ランス)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、MF三笘薫(ブライトン)であると力説し、特に高く評価している久保と三笘についてその理由を語っている。(取材・文=河合拓/全5回の4回目)

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 各選手たちの所属クラブでのパフォーマンスを見ていても、2列目はMF伊東純也、MF久保建英、MF三笘薫の3人を並べるのが最適だと思いますね。伊東と三笘はカタール・ワールドカップ(W杯)という大舞台を経験して、少し調子を落としたり、燃え尽きたりするのかなと思ったのですが、まったくそんな衰えを感じさせない。むしろ、より意欲的になっている感じさえ受けます。今の日本代表の強みは、彼ら2人のいる両サイドですよね。

 三笘は2022年のカタールW杯までは、代表で先発出場していませんでした。あれは反省材料だったと思っていますが、やっぱり良い選手はできるだけ長く使いたいですし、出場時間を限定するべきじゃない。怪我などがあれば仕方がないですが、普通にプレーできる状況であれば、良い選手は長く使う。実際に使ってみたら、日本代表チームで一番というぐらい良かったですよね。

 三笘がボールを持つと、やっぱりDFは飛び込めませんし、あそこで時間を作れるのは大きいです。それがチームのコンパクトさにもつながっている。時間を作ってくれる選手がいないと、選手目線で言えばラインを簡単に上げられないんです。そうなると、どうしてもラインが低くなってしまう。

 三笘がパスを受けてボールを止めた時、相手はうかつに飛び込めない。安易にボール奪取を狙ったら抜かれるのは分かっているからです。カバーを含めて相手が2人揃ったら、ようやく三笘にチャレンジに行ける。三笘はそれぐらいの選手ですから、あそこで時間を作れるのは相当大きいです。日本はラインを上げられるし、ほかの選手が休める時間も作れる。ボールが彼に入ると、もう雰囲気が違いますからね。

三笘薫と久保建英の競争「日本代表にとって、サッカー界にとって良いこと」

 今の攻撃陣で特に評価する2人は、その三笘ともう1人は久保です。2人とも「日本代表を引っ張っていくのは俺だ!」という感じで、良い意味で競い合っている感じがするんですよ。そういうハイレベルな競争は、日本代表にとって、サッカー界にとって良いことだなと思います。

 久保はクラブでは右サイドでプレーしていますが、自分は真ん中でプレーしている久保のほうが好きです。伊東が右にいるからではなくて、純粋にトップ下でプレーしたほうが、彼の技術や視野の広さ、豊かなイマジネーションが生きると思います。それに中央でスタートしても、自然と右に流れていく。これは別に悪いことではないし、むしろ相手にとっては捕まえにくい。守備の時でも2トップみたいな位置取りも取れて、非常にポジショニングが良いので効いていますよね。

 これから久保はプレーを分析されて、壁にぶつかるかもしれません。右のほうが攻めやすいのか、左のほうが攻めやすいのか、どういうコンビネーションで崩していくか。今は分析の時代になってきていて、スカウティングがどんどん進化しているので大変な状況になっています。森保一監督からも指示が出るでしょうが、自分でも「ここが攻めやすい」「こういうところを狙っていこう」という意図的なプレーを磨いていけば、さらに面白くなるでしょうね。

[プロフィール]
田中マルクス闘莉王(タナカ・マルクス・トゥーリオ)/1981年4月24日、ブラジル・サンパウロ州生まれ。サンフレッチェ広島―水戸ホーリーホック―浦和レッズ―名古屋グランパス―京都サンガF.C.。Jリーグ通算529試合104得点。日本代表通算43試合8得点。浦和と名古屋でチーム初のリーグ優勝に貢献し2006年JリーグMVPを受賞。03年に日本国籍を取得し、04年アテネ五輪に出場。10年南アフリカW杯で日本代表の16強進出に貢献。19年シーズンで現役引退後、解説など精力的に活動し、YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題を集めている。

(河合 拓 / Taku Kawai)

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