10人の正智深谷が残り2分から大逆転! 指揮官の想像を超えた選手の思いとは

関東第一を破り3回戦に進出 埼玉県勢として1大会2勝は6年ぶり

 2日に全国高校サッカー選手権2回戦に臨んだ正智深谷(埼玉)が、関東第一(東京B)との首都圏決戦を1回戦に続く逆転勝ちで制した。埼玉県勢が1大会で2勝したのは、西武台がベスト8入りした第89回大会以来、6大会ぶりのこと。3日の3回戦で創造学園(長野)と初の8強を懸けて対戦する。

 まさに筋書きのないドラマだった。正智深谷の小島時和監督が「奇跡」という言葉を何度使ったことか。取材中もまだ興奮が収まらず、言葉が時折上ずっていたし、打った戦略や試合中のベンチの様子などを次から次へと説明してみせた。

 九分九厘、負け試合だった。左ショートコーナーから関東第一のMF菅屋拓未のクロスにエリア内でハンドの反則。前半10分、GK戸田海斗がMF冨山大輔のシュートをいったんは止めたが、詰めていたFW林健太に押し込まれ1回戦に続いて前半に先制された。

 さらに同26分、上げた足が相手の顔面にヒットし「著しい不正行為」という理由でボランチのMF谷口瑛也が一発退場。この日の正智深谷は11人の時からリズムが悪く、複数のパスがつながらずに前線へ生きたボールを供給できないでいた。そこへ谷口がいなくなり、情勢はますます悪くなった。

 ベンチの動きも慌しい。小島監督は「緊急事態だったので、金井(豊)コーチらといろんな策を練った」と言う。1回戦で同点ゴールを挙げたFW田島帆貴を同29分に早々と投入したが、戦況を一変させることはできなかった。

 

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