王者に残された課題…選手権優勝5度の名門・市立船橋の夏冬連覇を阻んだものとは?

「競争が夏以降あまりにも働かなかった」

 総体王者に掛かるプレッシャーは大きかった。朝岡監督が「今年に関してはインターハイ取ったということで、ターゲットにされるわけですから。それで勝ち残っていく難しさは感じた」と語っていたように、多くの高校が”打倒イチフナ”を掲げていた。その重圧に加え、京都橘と前橋育英との連戦。激闘のなかでチームが抱えた大きな課題が表面化してしまった。

「疲れはもちろんありました。今日、明日の連戦を考えればここでコンディションを考慮したようなメンバー編成をする余裕がなかった。うちで言えば、選手層、突き上げ、この競争が夏以降あまりにも働かなかったところが全てかなというふうに思います」

 朝岡監督はインターハイを制して以降、チーム内での競争力の低下があったと敗因を分析している。主将のDF杉岡大暉(→湘南)、DF原輝綺(→新潟)、MF高宇洋(→G大阪)らJクラブ入り内定者が主軸を固め、インターハイから戦力の入れ替えはあまりなかった。

 この冬の選手権では、野洲(滋賀)が初優勝を果たした2005年大会以降の11大会中9大会で初優勝校が誕生するなど高校サッカーは群雄割拠の時代に突入している。総体王者といえども、現状に満足して立ち止まっている余裕は与えられないようだ。

【了】

石川 遼●文 text by Ryo Ishikawa

 

 

 

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