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ぐうの音も出ない完敗で「すごく悔しい」 浦和、世界的強豪マンCとの対戦で選手が感じた「サッカーの先」の形【現地発】
完全に押し込まれたハーフコートゲームで0-3の完敗
浦和レッズは現地時間12月19日にサウジアラビアで開催されたクラブ・ワールドカップ(W杯)準決勝で欧州王者マンチェスター・シティ(イングランド)と対戦。力の差を見せつけられる0-3の完敗だったが、MF小泉佳穂は「本当にジャブを打ち続けられて、ズレるの待つという感じ。本当に勉強になりました」と、ピッチ上で対峙してみての思いを話した。
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戦前からの力の差は百も承知だった。そのうえで、0-0から始まる試合のどこかに落ちている勝機を拾い上げられるのかという戦いになるのは覚悟のうえでスタートしたが、前半10分過ぎに両チームの試合へのスタンスが落ち着いたところに広がった光景は、完全に押し込まれたハーフコートゲームだった。
ダブルボランチの一角で出場したMF岩尾憲は、後半の残り15分ほどで足をつった。過密日程でも試合出場を続けてきた驚異的な体力の持ち主だが、「運どうこうではなくてシンプルな力負け」と話す。そして、「相手は敵陣に入った時に、あまり慌てずにサイドを変えながら。もちろん勝負しているような振る舞いを見せますけど、どちらかというと、こじ開けに行くというよりは、空くのを待っているよう、時間の使い方とボールの動かし方を非常にしていて、やられている方としても嫌でした」と話した。
また、スタメンから60分ほどのプレータイムだった小泉は「ファイナルサードにいった時、とにかく焦れないので、後の先を取ることに本当に注力してるというか。ドリブルとか、もう無理やり突っ込んでこない。待って待って、相手が足を出してくるんだったら、もちろん抜きにいくけど、来ないんだったら味方がランニングしてスペース空くのを待って、駄目ならやり直すっていうその繰り返しで。本当にジャブを打ち続けられて、ズレるのを待つという言う感じ。本当に勉強になりましたね。だって、クロスだって全然上げなくて、でも、あれだけシュートを打たれて決定機作られ続けるんで。ああいうやり方はあるんだなと肌で感じられたのはすごく大きい」という言葉を残した。
高い技術の相手に、予測を持ってボールカットにいけばその動きを察知してプレーを切り替えられてしまう。しかし、あと追いになり続けるだけでは全くミスをしない相手からボールが自分たちにはこぼれてこない。気が付いたらじわじわとゴール前に追い込まれている。そして、何とかシュートやラストパスをブロックしても、マイボールを落ち着ける前に厳しく寄せられて奪われる。背後に広大なスペースがあり、そこにボールが届けばカウンターになり得ることは分かり切っている。それでも、ピッチ上でその余裕は与えてもらえなかった。
B・シウバは細いが、「とにかく上手い」
一方で、それは先天的に圧倒的な差があるような、例えば時に主将のDF酒井宏樹が例を挙げるマルセイユ時代に対峙したフランス代表FWキリアン・ムバッペのスピードとは違うものだ。小泉は選手入場の際に相手のポルトガル代表MFベルナルド・シウバが横にいたとして「並んでいたら僕と同じくらい細いんですよね。だから関係ないんだと思って、本当に。ただ、とにかく上手いから。本当に技術と判断と配置と認知とかそこらへんを突き詰めて行った先に、そこはたぶん同じものが見えるような気がするというのはあった」と話す。
小泉は「いやあ、完敗です。なんだろうな、相手に恐怖心だったり本気を出させるってとこまでいかなかったのはすごく悔しい」と話しつつも、「(酒井)宏樹くんとベンチで話したんですけど、すごくいいモチベーションになったというか。やっぱあそこまでいかないといけない。すごくあそこまでいきたい。なんかサッカーの先が見えたんで、すごくいいモチベーションになった。やっぱり技術とか認知とか判断っていうところから逃げちゃいけないなと。これからのサッカー人生にすごく生かせると感じました」と、世界最高峰のプレーと対峙しての思いを話した。
ジョゼップ・グアルディオラ監督が作り上げてきたシティのサッカーは、もちろん個々に素晴らしい選手たちの集まりであることは大前提に、個人能力や1人のスターに依存したものでは全くなかった。だからこそ、ぐうの音も出ない完敗の中にも希望を見出すこともできたのかもしれない。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)