浦和が誇るスピード自慢、マンCの“速さ”に完敗 世界レベル相手に「これ以上できないくらい走った」【現地発】

浦和の関根貴大【写真:ロイター】
浦和の関根貴大【写真:ロイター】

クラブW杯準決勝で欧州王者・マンCに0-3完敗

 浦和レッズのMF関根貴大は、現地時間12月19日にサウジアラビア開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)準決勝で欧州王者マンチェスター・シティ(イングランド)との一戦に右サイドバック(SB)で出場。チーム事情から秋以降の急造ポジションで世界最強レベルの相手と対峙したが「自分の中ではこれ以上できないというくらい走って戦ったつもり」と、すべてをピッチに置いてきた。

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 浦和は今季、SBに多くの人数がいたはずだった。しかし、主将のDF酒井宏樹が11月上旬に膝の手術で離脱。DF明本考浩とDF荻原拓也はリーグ戦やAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での退場処分や累積警告による出場停止が相次いだ。DF大畑歩夢はU-22日本代表の活動もあり、ルヴァン杯で不在になった試合もあり、小さな負傷もあった。DF馬渡和彰とDF宮本優太はシーズン後半戦でゲームに絡めず、このクラブW杯でも登録メンバー外だった。そして明本、荻原、大畑の3人が左利きとあって、そのバランスも難しい部分になった。

 いつの間にか、3バックシステム採用時にウイングバックとしてプレーした経験が豊富な関根がSBとして貴重なカードになっていた。そのことを聞いた時に、本人は「いやいや、勘弁してください。前でお願いしますよ」と話したこともあったが、クラブW杯に向け、酒井がギリギリの復帰を果たしたものの長時間のプレーは難しく、このシティ戦も関根が右SBのスタメンに立った。

 始まってみると、シティは関根とマッチアップするサイドにMFジャック・グリーリッシュを開かせて、そこへ向けたサイドチェンジをかなりの数で入れてきた。見ようによっては「狙われた」とすら感じられるもの。必死について対抗したが、何度か突破されてしまう場面もあった。そして後半8分には、逆サイドからDFカイル・ウォーカーがドリブルで持ち上がると、関根の前を斜めに走り込んできたMFマテオ・コバチッチにスルーパスが出る。後手を踏んだあとに必死で背走したが追い付かず、そのまま0-2となる追加点を決められた。

「後悔はないですけど、思い出すとちょっと悔やまれるなと…」

 どちらかと言えばスピードが武器と言える関根が、ドリブルをする相手に追い付けないのは衝撃的だった。本人も「速かったですね。ファーストタッチも完璧でした。追い付けるかなと思ったんですけど、どうにもできなかったです」と、振り返るほどだった。

 それでも、攻撃参加をしようとする姿勢、球際で戦う姿勢、何かを起こそうとする気概は局面の中で感じられた。関根は「ポジション的に経験値は少ないですし、試合、試合で成長できる部分はあると思っているので。そこで修正できた部分とできなかった部分が露骨に出たかなと思います。そこで失点に絡んでしまったところも反省して次に生かしたいですし、色々な経験ができた。やり切りましたし、自分の中ではこれ以上できないというくらい走って戦ったつもりなので後悔はないですけど、思い出すと、失点シーンだったり、ちょっと悔やまれるなと思います」と、どこかスッキリとしたような、もちろん悔しさも感じさせるような表情で試合について話した。

 浦和は2017年大会以来のクラブW杯出場だった。関根はその年の夏にドイツへ移籍していたので、これが初出場だった。「人生に1回あるかないかのチャンスで、こういったチームと公式戦でやれるチャンスもなかなかないので、すごくモチベーション高くやりました」と話す。それでも、浦和はさらに25年夏に32チームに拡大される新たなクラブW杯への出場権を確保している。

 その目標は明確に設定できるだけに、「そこまでにどれだけ差を縮められるか、自分も成長できるかだと思うので。チーム力もしっかり上げて、次のチャンスに向けて準備したい」と関根は話す。次は、やり切った先に違う結果をつかみ取るため、この経験を生かしていきたい。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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