セルティック凱旋を果たした中村俊輔の真意 「パワースポット」への巡礼

 

会場全体からスタンディング・オベーションで迎えられた俊輔

 

「あっ、でもね、2日前にお土産屋さんに来て、ああ、こんなところがちょっと変わったんだと思ったりしたけど」

 車から降りて、5年半振りにセルティック・パークを目の前にした瞬間、「どんなことが頭によぎったか」とたずねると、中村俊輔はまずこういった。

 12月14日、セルティックとセント・ミレンのリーグ戦を俊輔が観戦した。筆者はこの試合当日が5年半振りのセルティック・パーク訪問の瞬間だと思ったのだが、俊輔はその2日前に訪れていたと明かした。こういうところも、物事を正確に伝えたいという性格が表れていると思った。

 また、そんな几帳面な性格があの正確なフリーキックを生むのだろう。そして、当然のことながら、この日セルティック・パークを訪れた心境を正確に語ろうとした。

 このコメントは少々長いが、非常に興味深いものなので、割愛することなく、俊輔が語った通りに綴ろうと思う。そのもどかしそうな様子にも、天才レフティーの誠実さが表れていると思う。

「例えば、刺激が欲しいんだったら、バルサの試合やバイエルンの試合を見に行く。レベルの高い選手のやってる試合に行けばいいんだけど、それは若い時にやった。今、現役が終わりに近づいてきて、刺激を受けるにはどこがいいかなと考えた時、オフも長かったし、なんかこう、懐かしむために来たわけじゃないんだけど、なんかねえ、成功を収めた時間が長いところに行くことで、なんかこう、自分の、いい時間があったことを、体で感じたかったのか、分かんないけど。

 ここに来ることで、モチベーションを上げようとかいうことでもない。なんだろうなあ、なんかこうメンタルをかき乱して、それでどうなるかは分かんないだけど。

 懐かしむだけなら、来ただけで終わる。今日試合を見て、これだったら俺もまだできるっていう、そういう次元の話でもなくて。ここのファン、人に囲まれた感じとか。

 変ないい方だけど、なんかパワースポット的な感じなんじゃないかな。そういうところに行くことで、自分がメンタル的に満たされて帰れるんじゃないかと。それが来季のモチベーションを上げることかは知らないけど、そういうところ(パワースポット的なところ)に来たかったというのはあった」

 俊輔は、「なんかこう」と何度も繰り返し、「なんかねえ」「分かんないけど」といいながら、今の自分の気持ちに合った言葉を探し続けた。

 そして「パワー・スポット」という言葉に行き着いた。

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