最終盤に追い付かれJ1昇格逃す「勝負師ではなかった」

　清水エスパルスは12月2日に行われたJ1昇格プレーオフ決勝で東京ヴェルディと1-1で引き分けた。この結果、年間順位で3位の東京Vが16年ぶりにJ1昇格を決め、清水は1年でのJ1復帰を逃している。

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　選手交代を行い、4バックから3バックに布陣を変更した直後の後半18分にFWチアゴ・サンタナのPKで先制ゴールを挙げ、そのままアディショナルタイムまでリードを保った。すでにシーズン中に2度の勝利を収めている東京Vから、今シーズンの3勝目を挙げるところまで、あと一歩と迫っていたが、後半アディショナルタイム6分にPKを与えてしまい、そこから失点。同点で試合を終えたことで、静岡の名門のJ1復帰への道は閉ざされた。

　試合後、秋葉忠宏監督は「見ての通り、何も成し得なかった。ただただ、それだけ。何回負けて泣いているんだ。プロとして何も残せていない。まだまだ足りないってことですから。僕を含めて下を向いている場合でも、泣いている場合でもねぇってことです。しっかりとこれを心に刻み、これからのフットボール人生で、どうキャリアを過ごすのか。まだまだフットボーラーとして、プロとして、人間力、勝負強さ、メンタリティ、そういうものがすべて足りない。このオフに自分がどうなりたいのか、1人1人が見つめ直して、自分たちのキャリアをどう過ごすべきか考えたいと思う」と、この90分の戦いを総括した。

　ロッカールームでは選手たちに対して「負けて泣くんじゃねぇ」と言ったことを明かし、「我々はプロだからこそ、勝ち取れなければ何も意味がない」と、あらためてプロサッカー選手が、何よりも結果が求められる職業であることを認識させたという。

　また、試合を通して何か後悔があるかと問われると、「まったくないし、そんなものがあったらとっくにやっていた。ただただ、自分の力のなさが、こういうゲームにしてしまった。この最後のビッグマッチに、これだけ多くの人が来てくれたという感謝の気持ちはあるが、今日の我々は結果を出すことのみだった。それができなかったということ。ただただ力がなかった。それは僕自身にすべて責任がある。勝負師ではなかった。ビッグマッチに勝てなかった。そこに尽きる」と、悔しさをかみしめた。

　3バックに変更後、先制ゴールを挙げることができたことについても「もともと3バックのプランを持つチームだから、そのなかで点を取れた」と言い、「そこでしっかりとゲームを進めていくつもりだったし、選手たちには『今日は2点差以上で勝とう』『85分までは守るつもりは全くない』と伝えていたので、先制しても守る気は全くなかった」と、2点目を取るまで攻撃的な姿勢を貫くことを伝えていたことを明かした。しかし、実際には先制してからは東京Vにボールを握られる展開となり、「ただ、このゲームの心理なのか、流れなのか、少し押し込まれてしまったのが残念」と、プラン通りにいかなかった点を認めた。

　最後に、このスタジアムに来ることができなかったサポーターを含め、応援してくれた人々へのメッセージを求められると、「ただただ申し訳ない」と謝り、「何度も、何度も、悔しい思いをさせている。しかも何回目だっていう話。もう言葉がないぐらい。それでも本当に多くの方が、清水エスパルスを応援してくれている。本当に感謝の気持ちしかない。それにプロとして応えられないのは、まだまだ努力が甘いと思っている。何かもっと根本的に変えなければ、ずっとこれを繰り返すだけ。オフシーズン、特に見つめ直して変えていきたい」と、来シーズンの続投を仄めかすコメントを残した。