パリ五輪世代「ポジション別最新序列」 タレント揃いの中盤は大激戦…現時点の主軸候補は?【コラム】

パリ五輪世代の序列を考察【写真:Getty Images & 徳原隆元】
パリ五輪世代の序列を考察【写真:Getty Images & 徳原隆元】

守護神はA代表GK鈴木彩艶、右SBは半田が評価急上昇

 パリ五輪世代となるU-22日本代表は、11月13日から21日まで日本で活動を実施。18日にはU-22アルゼンチン代表と対戦し、21日には非公開で同じくアルゼンチンとトレーニングマッチを行った。パリ五輪世代のお披露目と言っていい18日のアルゼンチン戦は、一度は逆転される苦しい展開ではあったが、再度逆転して突き放すという見事な内容を見せて5-2の勝利。今後に向けて意義のある一戦となった。今遠征を終えた時点でチームの序列がどのようになっているのか。ポジションごとの選手たちの勢力図を探っていく。

<GK>
◎鈴木彩艶(シント=トロイデン)
〇藤田和輝(栃木)
〇小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)
〇佐々木雅士(柏)
〇野澤大志ブランドン(FC東京)
△小畑裕馬(仙台)
△山田大樹(岡山)
△木村凌也(日体大)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 10月シリーズに続き、11月シリーズもA代表に呼ばれた鈴木が主軸であることは間違いない。世代を引っ張ってきたGKだけに、なかなかその座を揺るがすのは簡単ではないだろう。そんな中でも評価を高めてきているのが、U-22アルゼンチン代表戦で先発フル出場した藤田和輝だ。アジア競技大会で守護神として活躍したGKは、アルゼンチン戦でも2失点しながらも力のあるパフォーマンスを披露。小久保や佐々木、野澤大と同列に上がってきたことは間違いないだろう。

<DF>
◎西尾龍矢(C大阪)
◎木村誠二(FC東京)
◎バングーナガンデ佳史扶(FC東京)
◯半田陸(ガンバ大阪)
〇内野貴史(デュッセルドルフ)
〇加藤聖(横浜FM)
〇鈴木海音(磐田)
〇畑大雅(湘南)
◯大畑歩夢(浦和)
△馬場晴也(札幌)
△中村拓海(横浜FC)
△今野息吹(法政大)
△山﨑大地(広島)
△岡哲平(明治大)
△吉田真那斗(鹿屋体育大)
△奥田勇斗(桃山学院大)
△中野伸哉(鳥栖)
△関根⼤輝(拓殖大)
△根本健太(流通経済大)
△高井幸大(川崎)
△チェイス・アンリ(シュツットガルト)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 センターバック(CB)の中心となっているのは西尾と木村誠の2人。そこに鈴木海が続く形だ。アルゼンチン戦では前述の2人がCBコンビを形成。背後を突かれる場面もあったが、球際の強さや空中戦の強さを発揮するに至った。左サイドバック(SB)はアルゼンチン戦で先発出場したバングーナガンデがスタメン争いを1歩リード。A代表にも選出経験のあるバングーナガンデは、持ち前の攻撃力だけでなく、守備面でも成長を遂げており、頼れる存在の一人になりつつある。今回招集された大畑歩夢や怪我で離脱している加藤聖がバングーナカンデを追う形と言えるだろう。

 そして今回の遠征で評価を高めたのは右SBの半田陸だ。もともと世代では主力と言える存在ではあったが、A代表に呼ばれて以降、怪我などもありなかなかメンバー入りせず。今回が今年の遠征で初めてのメンバー招集となった。そういった状況下で挑んだアルゼンチン戦は、豊富な運動量で上下動を繰り返し、攻守で違いを見せることに成功。結果としても3アシストを記録し、一気に右SBの主力候補に舞い戻った。そこに怪我で離脱した内野、両サイドバックをこなせる畑が争う構図となっている。

中盤は大混戦 松木玖生とともに主力級に評価を上げているのは…

<MF>
◎鈴木唯人(ブレンビー)
◎藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)
◎三戸舜介(新潟)
◎斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)
◎山本理人(シント=トロイデン)
〇松木玖生(FC東京)
〇佐藤恵允(ブレーメン)
◯山田風喜(京都)
〇川崎颯太(京都)
◯松村優太(鹿島)
◯近藤友喜(横浜FC)
◯平川悠(町田)
◯福井太智(バイエルン)
△田中聡(湘南)
△荒井悠太(東洋大)
△松岡大起(グレミオ・ノヴォリゾン・チーノ)
△重見柾人(福岡大)
△平岡太陽(湘南)
△谷内田哲平(京都)
△山内翔(筑波大)
△西川潤(鳥栖)
△小見洋太(新潟)
△角昂志郎(筑波大)
△日野翔太(拓殖大)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 最もタレントが揃っている中盤は大混戦だ。その中でも鈴木唯、藤田、三戸の3人は、アルゼンチン戦でもそれぞれがそれぞれの武器をしっかり前面に出していくことで勝利に貢献。これまでの活動を振り返っても主軸候補と言っていいだろう。加えて、この世代を牽引してきた山本や怪我の影響もあって招集のなかった斉藤も主軸の一角に入っているのは間違いない。

 そこに食い込んできているのが、ここ数回の活動で結果を残してアピールを続ける2番手勢だ。アルゼンチン戦では松木が出色の出来を披露。中盤でのパス出しやボール奪取でも光るものを見せており、主力に近づいている。また、ドイツのブレーメンでプレーする佐藤は、アジア競技大会に続いてアルゼンチン戦でもゴールを奪取。これまでも得点力の高さをしっかりとアピールしてきており、序列的にも上がってきているのは明らかだ。

 その他にも途中交代で流れを変える存在として期待できる松村や山田、近藤も評価を高めており、中央では川﨑や福井もピッチに立てば、遜色ないパフォーマンスができる力を持っている。ここから誰が主軸の座を脅かしていくかは、注目ポイントの一つと言えるはずだ。

絶対的な存在・A代表FW細谷に対抗するのは…

<FW>
◎細谷真大(柏)
〇小田裕太郎(ハーツ)
〇藤尾翔太(町田)
△内野航太郎(筑波大)
△福田師王(ボルシアMG)
△植中朝日(横浜FM)
△鮎川峻(大分)
△木村勇大(金沢)
※◎=主軸候補、〇=準レギュラー候補、△=その他検討候補

 FWの絶対的存在は細谷だ。これまでの活動を含めて最も最前線に位置することが多く、エースストライカーとして結果もしっかりと残してきた。そのパフォーマンスが評価され、今回は追加招集ながらA代表に選出。さっそく初ゴールを決めるなど、自身の力を証明するに至った。そういった状況を踏まえてもパリ世代のエースは細谷となる。

 そこに続くのは小田と藤尾。この2人は左右のウイングをこなせるため、最前線以外でも活躍できることに価値がある。細谷不在の状況では前も務めることができ、選択肢を増やす意味でも主力に加わってくる可能性が高いだろう。

 ただ、そういった状況を覆す可能性を見せたのが福田だ。今回のアルゼンチン戦でパリ世代の代表に初招集となった福田は、途中出場でさっそく見事な動き出しと的確なシュート技術でゴールを奪取。ドイツでも少しずつ結果を残し始めているストライカーが、今後さらなる覚醒を果たせば、主力に食い込んで行ける可能性がありそうだ。

(林 遼平 / Ryohei Hayashi)

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林 遼平

はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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